<新興国eye>トルコ9月CPI、前年比83.45%上昇に加速―24年ぶり高い伸びでも予想下回る

新興国

2022/10/5 9:09

 トルコ統計局が3日発表した9月CPI(消費者物価指数、03年=100)は前年比83.45%上昇と、前月(8月)の80.21%上昇や7月の同79.6%上昇から伸びが加速。依然として、98年7月(85.35%上昇)以来、24年2カ月ぶりの高い伸びとなっている。ただ、市場予想(同84.63%上昇)を下回った。

 同国のCPI伸び率はコロナ禍の悪影響が強まった20年の5月はサプライチェーン(部品供給網)の寸断により、前年比11.39%上昇、6月も同12.62%上昇と、2カ月連続で加速。その後、コロナ禍が一服し、サプライチェーンが正常化したことを受け、7月は同11.76%上昇に鈍化したが、11月(同14.03%上昇)以降、伸びは再び加速傾向にある。今回の9月CPIは21年6月(同17.53%上昇)以降、15カ月連続の加速。

 最近ではウクライナ戦争の勃発(2月24日)と、それに伴う西側の対ロ経済制裁により、エネルギー価格の高騰と、中銀の利下げに伴う通貨トルコリラの急落が加わり、インフレ率が急加速している。ただ、9月統計では食品・清涼飲料水が前年比93.05%上昇と、8月の同90.25%上昇から伸びが加速。7月の同94.65%上昇以来の高い伸びに戻っている。

 前月比は3.08%上昇と、前月の1.46%上昇を大幅に上回り、3カ月ぶりに伸びが加速。6月の4.95%上昇以来、3カ月ぶりの高い伸びとなった。ただ、市場予想(3.80%上昇)を下回っている。

 セクター別(前月比)では、住宅(光熱費や修理費)は9.99%上昇と、最も高く、次いで、教育が6.99%上昇。通信は3.40%上昇、どのカテゴリーにも入らないその他商品・サービスは3.19%上昇となり、全体の伸び(3.08%上昇)を上回った。

 このほか、ホテル・カフェ・レストランは2.43%上昇、レクリエーション・文化は2.13%上昇、ヘルス(薬局・美容)が2.10%上昇、家具・生活用品は2.07%上昇、食品・清涼飲料水の1.97%上昇、アパレル・靴は1.46%上昇、運輸は0.90%上昇となった。対照的にアルコール飲料・たばこは0.04%上昇と、最も低い伸びとなっている。

 また、全体指数から値動きの激しい食品やエネルギーなどを除いたコアCPI(グループC)も前年比68.09%上昇と、前月の66.08%上昇を上回り、11カ月連続で伸びが加速した。

 セクター別の前年比(全体指数)では、運輸が117.66%上昇(前月は116.87%上昇)と、最も高い伸びとなった。次いで、食品・清涼飲料水が93.05%上昇(同90.25%上昇)。家具・生活用品が89.68%上昇(同92.02%上昇)、住宅(光熱費や修理費)は84.67%上昇(同71.82%上昇)、アルコール飲料・たばこも82.48%上昇(同82.49%上昇)、ホテル・カフェ・レストランは81.34%上昇(同80.95%上昇)となり、全体の伸び(83.45%上昇)を上回った。

 このほか、どのカテゴリーにも入らないその他商品・サービスは74.06%上昇(同71.19%上昇)となった。対照的に、通信は30.76%上昇(同27.05%上昇)と、最も低い伸びとなった。

 トルコ中銀は7月28日に発表した最新の四半期インフレ報告書で、22年末時点のインフレ見通しを60.4%上昇(前回4月調査時点で42.8%上昇)、23年末時点の見通しは19.2%上昇(同12.9%上昇)、24年末時点も8.8%上昇(同8.2%上昇)と予想。いずれも前回調査から引き上げている。インフレ率(全体指数)は今秋に約90%上昇と、ピークに達すると見ている。

 また、政府が9月4日に発表した23-25年の新中期3カ年経済計画では、インフレ率の見通しは22年末時点で65.0%上昇、23年末時点で24.9%上昇、24年末時点で13.8%上昇、25年末時点で9.9%上昇と予想している。

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 上場MSエマ<1681.T>

提供:モーニングスター社

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