LTSは来期飛躍へ照準――DX取り込むコンサルティング、採用強化で事業規模拡大

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2022/10/7 17:30

 デジタル化や業務プロセスの改善を支援するコンサルティング会社のエル・ティー・エス(=LTS、6560)は、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)や、競争力強化のニーズを取り込んでいる。来12月期以降の飛躍へ向けた人材投資などが先行する今期は、減益計画ながらも上期(1~6月)に過去最高の収益を達成。新規採用人数の水準も引き上げていく。

BPMを展開、顧客の競争力向上を支援

 同社は商社や金融、自動車といった業界大手を中心に、企業がデジタル化を進める際などに必要となる既存業務の変革をサポートする。業務の流れを可視化して課題を特定、最適な姿に導く「ビジネス・プロセス・マネジメント(BPM)」を基盤に、さまざまなサービスを展開している。

 顧客を長期で支援するストック型のBPMを軸とする「プロフェッショナルサービス事業」のほか、人材・案件とIT企業、またはフリーのコンサルタントと案件をマッチングするサービスなどからなる「プラットフォーム事業」を手掛ける。売上高の構成比は、前期実績でプロフェッショナルサービス事業が全体の96.5%を占めるが、同事業の体制づくりにはプラットフォーム事業のフリーランス会員を役立てているため、両者は補完関係にある。

 今期上期の連結業績は、売上高が46.5億円(前年同期比33.8%増)、営業利益が3.5億円(同28.2%増)となった。上期は第2四半期(4~6月)に売上が増えにくい季節性がある上、新入社員の受入費用も発生したものの、それらをこなし、プロフェッショナルサービス事業の営業利益が3.2億円(同27.6%増)に拡大した。

 企業のDXが引き続き活発な中で、LTSはIT競争力をめぐる企業のあり方の推移をとらえている。例えば、かつては10年に1度のシステム統合といった大変革が決め手となったが、現在の市場環境で勝ち抜くためには、企業は大きなものから小さなものまで日常的に変革に取り組むことが求められる。そこで同社は、「個別の変革をサポートするだけでなく、変化への対応力そのものを向上させていくことへの支援に軸足を移している」(樺島弘明社長)。

24年営業益20億円視野、横河電機グループと資本提携

 今後も事業規模を広げていくために、コンサルタントとエンジニアの採用にも注力している。両人員数は前期末が380人だったが、今期からの3年間で1.9倍の720人に増やす目標を掲げる。今期は上期の段階で採用数が45人と年間100人に届かないペースだが、「来期は100~150人を目指す」(樺島社長)。既に来年4月入社の新卒者約80人の内諾があるほか、中途についても、IT業務の経験者をコンサルタントや上級エンジニアとして積極的に迎え入れるという。

 中期経営計画では、来期に売上高127億円、営業利益12億円、24年12月期に売上高165億円、営業利益20億円を予想する。先行投資が発生する今期は営業利益を4.8億円(前期比20.0%減)と見通しているが、ここから一気に成長に弾みを付けていく構えだ。

 そのために、アライアンスも加速する。9月には、横河電機(6841)の子会社で、製造業のDX支援を担う横河デジタル(東京都武蔵野市)と資本・業務提携契約を締結した。横河電グループのOT(運用技術)とLTSのIT技術を融合させることで、まずは国内外の横河電グループの既存顧客により高いレベルのコンサルなどのサービスを提供する。また、中・長期的に展開範囲を広げるほか、OT、ITが密接になりつつある中で関連する人材の採用と育成を進めていく。

(写真:123RF)

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