金融向けDX取り込むアクシス、小倉社長に聞く――中計目標強含み、他業種展開も強化

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2022/11/28 9:00

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アクシス・小倉博文社長

 システム構築のアクシス(4012)は堅実経営が光るが、直近はDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れにも乗り、高成長フェーズを迎えている。同社の小倉博文社長は、基盤の金融分野の次世代化ニーズの取り込みとともに、他業種の開拓も加速する考えを語った。

 ――金融向けを主力に1991年の創業からこれまで常に黒字を維持してきた。

 「当時はバブル崩壊直後で景気は悪く、独立系ということもあって事業環境は非常に厳しかった。だからこそ事業のリスク管理を抜かりなく行い、『失敗しないプロジェクトマネジメント』と『徹底した収支管理』を行ってきたことが、その後の堅実な利益の推移につながった」

 「金融業にとってITはそのものの『技術』ではなく、あくまで導入したことで生じる『効果』が重要だ。その上で、顧客に満足してもらえるシステムを提供するには、業務性を完全に理解する必要がある。いったん信頼を得られれば長期の取引関係が見込まれる。制度変更も頻繁な業界のため、新たな需要が発生しやすい」

 ――DX化が各方面で加速している。

 「一口にDXといっても、金融業界では昔からITを活用してきた。現在の波はシステムのクラウド化をはじめとする次世代領域で、われわれもそこに注力している。クラウドのほかに、決済の多様化やセキュリティー環境の高度化に関する部分も成長性が大きい」

 ――需要を取り込むカギとなる人事戦略はどうか。

 「30人規模の新卒採用を続けていく見通しだ。じっくり育てる方針のため戦力化には半年~1年を要すが、5年内の定着率は約90%。また、経験者の中途採用も積極化していくほか、業務を委託するビジネスパートナーの活用余地も大きい」

 ――既存のシステムインテグレーション(SI)事業とは別に、車両管理のクラウドサービスも展開している。

 「2018年にリアルタイム車両運行管理システム『KITARO』を買収した。企業の営業車など商用車の位置情報や走行履歴をはじめとする車両データを把握することで、効率化につなげるサービスだ。導入数の増加に加え、ドライブレコーダーやデジタルタコグラフといった付帯機器を展開することで客単価の底上げを図っている」

 ――今12月期は第3四半期累計の連結業績は売上高が43.3億円(前年同期比24%増)、営業利益が4.4億円(同22%増)に伸び、営業利益の通期計画(5.0億円、前期比横ばい)に対する進ちょく率が88%に達している。

 「今のところ事業環境に大きな不安はないが、予想の修正はあくまで取引所の開示基準(利益の3割相当)を目安にしている。また、第4四半期(10~12月)は相対的に費用も増えやすいため、保守的なスタンスを取っている」

 ――中期経営計画では最終年度の25年12月期に売上高80億円、営業利益率10%(営業利益8.0億円)を掲げている。

 「業績成長の速度が増していることもあり、中期計画は更新する必要を感じている。また、主力の金融向けで専門性を高めていく一方で、安定的な収益獲得が見込まれる公共分野にも力を入れたい」

 ――自治体のほか電力などの社会インフラを指す公共分野の売上比率はどの程度か。

 「3年前はSI事業の1割程度だったが、足元では2割弱まで拡大している。今後もこの領域の伸び率は大きくなるだろう。他の業種も含めSIのラインアップを増やし、さらに新たなIT関連事業に着手したい」

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