海外株式見通し=米国、香港

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2023/2/9 17:25

【米国株】グロースに追い風続く

 昨年末以降、グロース(成長)銘柄が米国株相場をけん引している。季節的需給要因として、節税対策に伴って損失を確定させるための投資家の売りが収束し、売り圧力が弱まった銘柄について新年入りで買いが入りやすい「1月効果」の影響も大きいと考えられる。1日のFOMC(米連邦公開市場委員会)でパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が「ディスインフレのプロセスが始まった」と述べたことも、そうした動きをさらに後押した。

 3日発表の米12月雇用統計は、非農業部門雇用者数と失業率が労働市場の強さを示す内容となったものの、7日にパウエル議長が「ディスインフレのプロセス」を繰り返したことからグロース銘柄への追い風は続いている。14日発表予定の米1月消費者物価指数(CPI)にがぜん注目が集まる。

 10~12月決算発表を通じて、ナスダック100指数構成銘柄の中でもネットフリックスに続き、過去最高値から大きく売りたたかれて調整が進み、かつ、業績立て直しへ向けた有効な経営戦略が実行されることで成長軌道への回帰が期待される銘柄も出始めた。

 大幅値下げが奏功して納車台数が大幅増となったEV(電気自動車)のテスラ、FPGA(現場でプログラムできる集積回路)大手のザイリンクス買収を経てEV向け半導体チップが新たな成長ドライバーに育ってきたアドバンスト・マイクロ・デバイセズなどは、その代表格に位置付けられる。また、メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)は人工知能(AI)活用によりプライバシー方針変更への対応が奏功したほか「2023年は効率化の年になる」と述べてコスト抑制と自社株買い枠400億ドル拡大へと経営方針の転換を示した。

 一方、バイデン米大統領が一般教書演説で、巨大IT企業に対す反トラスト法(独占禁止法)の関連法案可決を呼び掛けるなど、テクノロジー業界への監視強化が提言されている点には注意が必要だ。

【香港株】世界首位鉄鋼メーカーの株価出遅れは好機か?

 世界鉄鋼協会によれば、21年の世界の粗鋼生産量は19億5100万トンであり、そのうち約53%が中国の鉄鋼メーカーによる。そして、粗鋼生産量のメーカーごと順位では世界首位が中国国有企業の宝武鋼鉄集団で、その規模は1億2000万トンに上る。

 2位はルクセンブルグが本拠のアルセロール・ミタルで7930万トン、3位が中国の鞍鋼集団で5570万トン、4位が日本製鉄(5401)で4950万トンと続く。宝武鋼鉄集団は傘下に、上海市場に上場する宝山鋼鉄を擁する。

 中国のゼロコロナ政策終了に伴う経済再開は、鉄鋼需要の回復期待を高めた。鉄鋼株の株価は世界的に上昇基調にある。欧米主要国の金融引締めを背景に、低PER・高配当利回りのバリュー(割安)株に投資先を振り向ける動きも支えになっている。

 米・日・欧・中の代表的鉄鋼株の株価推移を見ると、昨年10月以降、米国のニューコアの上昇が顕著だ。ニューコアは炭素効率性が高い電炉で世界首位を占めている。21年の粗鋼生産量は2570万トンで世界15位ながら、8日終値の時価総額は世界の鉄鋼株で首位の423億ドルに上る。

 中国の鋼材需要は不動産開発によるところが大きいとみられる中、22年の完工不動産投資額の年初来累計額は4月以降、前年同期比での減少幅が加速。21年1月から政府が実施している「3つのレッドライン」と呼ばれる融資規制が緩和されれば、宝山鋼鉄も株価の出遅れ解消が期待される。

※右の画像クリックでグラフ拡大

(フィリップ証券リサーチ部・笹木和弘)

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