米3月S&PコアロジックCS住宅価格指数、前月比1.3%上昇―供給不足による競争が激化

経済

2023/5/31 10:00

<チェックポイント>

●前年比は0.7%上昇と12カ月連続の減速

●主要20都市圏は前月比1.5%上昇―前年比は市場予想ほど悪化せず

●S&P、「住宅価格の低下が収束の可能性」と

 スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が30日に発表した3月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(季節調整前)は、一戸建て中古住宅の価格動向を示す総合指数である全米住宅価格指数が前月比1.3%上昇の297.08と2カ月連続で上昇し、前月の0.3%上昇から伸びが加速した。市場では住宅供給(在庫)不足となる中、買い手が少ない住宅をめぐって競い合ったためと見ている。

 ただ、季節要因を無視できる前年比は0.7%上昇と、前月の2.1%上昇から減速。これで12カ月連続の減速となる。

 S&P500指数を運営しているS&Pダウジョーンズ・インデックスのマネージング・ディレクター兼指数管理担当責任者であるクレイグ・ラザラ氏は、2カ月の動きを踏まえ、「22年6月から始まった住宅価格の下落が収束した可能性がある」と指摘。ただ、今後の見通しについては、前回発表時と同様、「住宅ローンの資金調達コストの上昇や景気低迷の見通しを考えると、少なくとも今後数カ月は住宅価格にとって逆風が吹き続ける」との見方を変えていない。

 また、市場が最も重視している主要20都市圏の価格指数(季節調整前)は前月比1.5%上昇の302.3と、2カ月連続で上昇。前年比は1.1%低下と、前月の0.4%上昇から低下に転じたが、市場予想の1.7%低下ほどは悪化しなかった。

 都市別の前年比では、マイアミが7.7%上昇と、最も高い伸びとなり、8カ月連続でトップとなった。次いで、タンパが4.8%上昇、シャーロットが4.7%上昇、アトランタが4.5%上昇。対照的に、シアトルは12.4%低下と、最も低い伸びとなった。次いでサンフランシスコは11.2%低下、サンディエゴも5.3%低下、ラスベガスは5.1%低下となった。マイナスとなったのは20都市中10都市(前月は8都市)だった。

 他方、主要10都市圏の価格指数(季節調整前)も前月比1.6%上昇の315.34と、2カ月連続で上昇、前月(0.4%上昇)から伸びが急加速した。前年比は0.8%低下と、前月(0.5%上昇)から低下に転じた。これも11カ月連続の減速。ただ、依然、価格指数は金融危機前の06年6月のピーク(226.29)より39.4%高く、20都市圏と同様に上昇率が拡大した。

提供:ウエルスアドバイザー社

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