エージーピー、空港車両のEV化取り組む

無料

2023/6/9 16:00

 エージーピー(9377)が中期経営計画の成長事業に掲げる「環境×電力×DX(デジタルトランスフォーメーション)」が動き出す。昨年には東京国際空港(羽田空港)と、高松空港(香川県)で空港車両のEV(電気自動車)化の検証に入った。担当する山﨑有浩・取締役常務執行役員に話を聞いた。

※写真:山﨑常務(中央)と藤田氏、岩政氏、長田氏、遠藤氏(左から)

 ――環境×電力×DXにおける具体的な試みは?

 「空港内の電気インフラを担う企業として、これまで培った技術や知見を活かし、空港分野のCO2(二酸化炭素)排出削減に注力していく。これまでもGPU(地上電源設備)により、駐機中の航空機から排出されるCO2の量をおよそ10分の1に抑えることなどを通じた貢献をしてきたが、今回の取り組みでは空港車両のEV化に焦点を当てている。その第1弾が羽田空港と高松空港だ」

 ――羽田空港では、日本空港ビルデング(9706)と脱炭素化を進める。

 「羽田空港でEV化を目指す車両は、空港では最も台数の多い車両タイプに着目した。両社の強みを活かし、車両の運行データを分析することで充電環境の整備や車両管理、エネルギーマネジメントなどの課題検討調査を行った。本調査を通じて得られた知見を羽田空港におけるEV化事業の実装につなげ、さらに他の空港へも横展開を図っていきたい」

 「高松空港では、コンテナのけん引を行う車両タイプ(トーイングトラクター)の一部を電動化した。全日本空輸(ANA)、日本航空(JAL)の両社の協力も得て、空港車両のEV化について実証事業を進めている」

 ――24年3月期の新たな取り組みは?

 「羽田空港では先ほどの説明の通り、日空ビルと協業してEV化の取り組みを深化させる。高松空港では、さらなるEV化推進を検討しつつ、空港への太陽光発電設備などの導入計画検討にも参画していきたい。晴れの日が多い高松空港は太陽光発電に向いていると聞いているので、今後のモデルとして、知見を積み重ねるのにも適していると思う。その他の空港でも脱炭素化事業について様々な企業から引き合いがある。積極的に取り組んでいきたい」

 「欧米では再生可能エネルギーを空港全体で活用している事例も多い。空港の脱炭素化推進が空港間の国際競争において必須の条件となる時代に差し掛かりつつある。これまで培ってきた自らの強みを最大限生かし、この大きな流れに積極的に参画していきたい」

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ