エヌビディア、生成AI向け売上急拡大――期待先行で時間外下落も息長い投資テーマに

米国株式

2023/11/22 7:49

 半導体世界大手の米エヌビディアが日本時間22日早朝に発表した8~10月決算は、注目されていた生成AI(人工知能)関連のデータセンター向け需要が急拡大したことで、売上高が前四半期比34%増の181億ドル(前年同期比3.1倍)に膨らんだ。来年2月までの3カ月間も一段と伸びる見通し。先行して高騰していた株価は時間外取引で不安定な反応を示したものの、同社の高成長を踏まえたテーマ株物色は中期的に継続しそうだ。

11~2月見通しコンセンサス上回る

 8~10月のエヌビディアの売上高は、市場予想(約160億ドル)を大幅に上回った。うちデータセンター向けは145億ドル(前四半期比41%増、前年同期比3.8倍)と全体をけん引した。いずれも四半期で過去最高を更新。ゲーム向けも同15%増、81%増の29億ドルと堅調だった。全体の営業利益(Non-GAAP)は116億ドル(同49%増、7.5倍)となった。

 生成AIの導入が活発化していることで、処理能力を維持するためのデータセンター向けの高性能半導体の需要が急増している。エヌビディアはこの分野で、圧倒的な世界シェアを誇る。

 新たに打ち出した11月~来年2月の予想では、売上高200億ドル(プラスマイナス2%)を見込む。同社CEO(最高経営責任者)で創業者のジェンスン・フアン氏は、「力強い成長は、汎用コンピューティングから<中略>生成AIへの広範な業界プラットフォームの移行を反映している」とする声明を発表している。

 同社の株価は今月に入り、決算発表へ向けて約24%値上がりしていた。20日には上場来高値を更新するなど、投資家の期待値は極めて高い状態にあった。11月~来年2月の売上高のコンセンサスは約180億ドルだったが、マーケットは明らかにそれ以上の水準を織り込んでいたとみられる。一部では210億ドルを予想する向きもあったという。

 このため、21日の米国市場では決算前に出尽くし警戒の動きが強まり、同社株は前日比0.9%安の499.44ドルに値下がりした。引け後の決算を受けた時間外取引では一段安となっている。

半導体関連など中期マーク

 しかし、生成AIを取り巻く熱気は、エヌビディアの動向でより鮮明になった。米市場の本取引で、改めて成長性が評価される望みも残る。きょう22日の東京市場では、時間外の同社株の動きが短期的にネガティブにとらえられる可能性があるものの、物色テーマとしては息の長いものになりそうだ。

 関連銘柄は、東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)、レーザーテック(6920)、KOKUSAI ELECTRIC(6525・プライム、電気機器)などの半導体製造装置株や、データセンター向けにロジック半導体を手掛けるソシオネクスト(6526)、光学デバイスのエンプラス(6961)など。

 また、AI関連のヘッドウォータース(4011)、PKSHA Technology(3993)、Appier Group(4180)、ブレインパッド(=ブレインP、3655)、pluszero(5132)、ブレインズテクノロジー(4075)、ニューラルグループ(4056)、エッジテクノロジー(4268)なども、株価が大きく押した局面は狙い目となるかもしれない。

(写真:123RF)

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