海外株式見通し=米国、香港
【米国株】金利低下で再エネ関連逆襲へ
S&P500指数を構成する11業種の中で、年初来のパフォーマンスが最も悪いのが「公益事業」だ。下落率は10%を超える。中でも太陽光発電を中心とした再生可能エネルギー関連銘柄の下落が厳しい。
気候変動対策を盛り込んだインフレ抑制法などをはじめとする国策もあり高成長が持続する公益セクターだが、直近の7~9月期では業況が暗転しているケースが目立つ。
太陽光発電業界の銘柄を幅広く網羅する「MACグローバル・ソーラー・エネルギー指数」は、7月下旬ごろから下落が加速し、11月17日には年初来の下落率が37%に達した。これは、米10年国債利回りが4%を上回った時期と重なる。金利上昇がプロジェクトの資金調達に影響するとの見方の裏返しだろう。
10年債利回りは10月19日に5%近くまで上昇したが、その後はピークアウトしつつある。今後も調整が続けば、売られ過ぎた再エネ関連銘柄の株価が底打ちする環境が整うだろう。
太陽光発電のサプライチェーンは依然として中国に集中している上、米政府は国内産業保護の観点から追加関税などの措置を講じている。このため太陽光発電製品は深刻なの供給不足に直面している。本来であれば、関連メーカーの株価は恩恵を受けやすい状況だが、金利上昇がそれを妨げていたとみられる。再エネ市場の成長軌道が揺らいではいない点を改めて認識するべき時だろう。
【香港株】陰極陽転の香港株――景気対策と「中特沽」で3大ゼネコン株注目
中国株、香港株への見直し機運が高まりつつある。UBSグループは今月半ば、中国株の来年のパフォーマンスはインド株を上回る見込みだと指摘。中国株には既に多くのマイナス材料が織り込まれているとみる。
フィデリティ・インターナショナルも、中国の「より緩和的な金融政策」に加え、中国政府が1兆元(約21兆円)の国債増発で経済を支えるとしたことを株式市場の追い風だと強調した。
モルガン・スタンレーの推計では、ロングオンリー型の外国投資家の中国・香港株に対するアンダーウエートの度合いが数年来で最大水準まで高まっている。また、過去3カ月間の中国株の売り越し額は100億ドル弱と、2018年以降で最高に達していた。
東洋思想「陰陽論」も「陰極まれば陽に転じ、陽極まれば陰に転ず」と論じている。今の中国・香港株にも当てはまるか。
今年に入ってから「中国の特色あるバリュエーション体系」という意味の「中特沽」が、香港市場を席巻した。国有企業への市場の評価を向上させる当局の狙いの下で、割安・高配当利回りの国有企業への注目度が高まった。
国務院直属の国有企業である「中央企業」は、その恩恵を受けやすいとみられる。政府による国債増発も災害からの復興需要への対応が中心であり、中央企業傘下の3大ゼネコンである中国中鉄、中国鉄建、中国交通建設が注目される。
各社とも配当利回り、PER、PBR(株価純資産倍率)などからみてバリュー(割安)株として魅力が大きい。
※画像クリックでグラフ拡大
(フィリップ証券リサーチ部・笹木和弘)
関連記事
-
「山本伸のプレミアムレポート」:新日本建(1879)
2023/11/22 17:26
今週もPBR(株価純資産倍率)1倍割れの超割安株の中から新日本建設(1879)に注目したい。 建設とマンション開発の2本柱経営。地盤の千葉から首都圏一帯に営業エリアを拡大したが、近年は関西や東北など・・・…続き
-
ドリームアーツが切り返し――10月末上場、早くも需給整理進む
2023/11/22 17:25
ドリームアーツ(=ドリームA、4811・グロース、情報通信)が早くも切り返しの動きに入っている。大企業向けSaaS(サービスとしてのソフトウエア)プロダクト、特定顧客向け開発運用一体型クラウドサービ・・・…続き
-
GMOメディ、「コエテコ」好調で中計前倒し達成へ
2023/11/22 17:25
GMOメディア(6180)は11月に入っていったん下落したものの、直近では改めて上昇基調を示しており、22日に年初来高値を更新した。ただ、時価3400円台のPERは17倍台で依然として割安感があり、・・・…続き
-
きょうのPTS作戦(22日大引け情報)
「業務スーパー」の神戸物産(3038)が22日引け後に発表した10月売上高(単体)は前年同月比13.5%増の440.8億円だった。店舗数が前年同期比41店増となったほか、テレビ番組での露出も来客増に・・・…続き
速報ニュース
-
70時間前
-
70時間前
-
豊田織が反発、25年3月期は大幅な増益見通しに配当の増額を計画
70時間前
-
先読み作戦指令室=農業総合研究所:第2四半期は好調に推移、ハウスとの提携にも期待
70時間前
-
日経平均は289円程度高、プラス寄与度は東エレク、ソフバンG、アドバンテスが上位
70時間前
-
26日後場寄り付きの日経平均株価=297円58銭高の3万7926円06銭
71時間前
-
マーケット早耳情報=話題株の後場寄り前成り行き注文状況―ソシオネクス、菱重工、三井ESなど
71時間前
-
マーケット早耳情報=主な後場寄り前成り行き注文状況(2)LINEヤフ、楽天グループ、みずほなど
71時間前
-
マーケット早耳情報=主な後場寄り前成り行き注文状況(1)トヨタ、ENEOS、ソフバンGなど
71時間前
-
日経平均は151円高、反発も日銀会合控え盛り上がり欠ける=26日前場
71時間前