海外株式見通し=米国、香港

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2023/11/23 15:00

【米国株】金利低下で再エネ関連逆襲へ

 S&P500指数を構成する11業種の中で、年初来のパフォーマンスが最も悪いのが「公益事業」だ。下落率は10%を超える。中でも太陽光発電を中心とした再生可能エネルギー関連銘柄の下落が厳しい。

 気候変動対策を盛り込んだインフレ抑制法などをはじめとする国策もあり高成長が持続する公益セクターだが、直近の7~9月期では業況が暗転しているケースが目立つ。

 太陽光発電業界の銘柄を幅広く網羅する「MACグローバル・ソーラー・エネルギー指数」は、7月下旬ごろから下落が加速し、11月17日には年初来の下落率が37%に達した。これは、米10年国債利回りが4%を上回った時期と重なる。金利上昇がプロジェクトの資金調達に影響するとの見方の裏返しだろう。

 10年債利回りは10月19日に5%近くまで上昇したが、その後はピークアウトしつつある。今後も調整が続けば、売られ過ぎた再エネ関連銘柄の株価が底打ちする環境が整うだろう。

 太陽光発電のサプライチェーンは依然として中国に集中している上、米政府は国内産業保護の観点から追加関税などの措置を講じている。このため太陽光発電製品は深刻なの供給不足に直面している。本来であれば、関連メーカーの株価は恩恵を受けやすい状況だが、金利上昇がそれを妨げていたとみられる。再エネ市場の成長軌道が揺らいではいない点を改めて認識するべき時だろう。

【香港株】陰極陽転の香港株――景気対策と「中特沽」で3大ゼネコン株注目

海外見通し

 中国株、香港株への見直し機運が高まりつつある。UBSグループは今月半ば、中国株の来年のパフォーマンスはインド株を上回る見込みだと指摘。中国株には既に多くのマイナス材料が織り込まれているとみる。

 フィデリティ・インターナショナルも、中国の「より緩和的な金融政策」に加え、中国政府が1兆元(約21兆円)の国債増発で経済を支えるとしたことを株式市場の追い風だと強調した。

 モルガン・スタンレーの推計では、ロングオンリー型の外国投資家の中国・香港株に対するアンダーウエートの度合いが数年来で最大水準まで高まっている。また、過去3カ月間の中国株の売り越し額は100億ドル弱と、2018年以降で最高に達していた。

 東洋思想「陰陽論」も「陰極まれば陽に転じ、陽極まれば陰に転ず」と論じている。今の中国・香港株にも当てはまるか。

 今年に入ってから「中国の特色あるバリュエーション体系」という意味の「中特沽」が、香港市場を席巻した。国有企業への市場の評価を向上させる当局の狙いの下で、割安・高配当利回りの国有企業への注目度が高まった。

 国務院直属の国有企業である「中央企業」は、その恩恵を受けやすいとみられる。政府による国債増発も災害からの復興需要への対応が中心であり、中央企業傘下の3大ゼネコンである中国中鉄、中国鉄建、中国交通建設が注目される。

 各社とも配当利回り、PER、PBR(株価純資産倍率)などからみてバリュー(割安)株として魅力が大きい。

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(フィリップ証券リサーチ部・笹木和弘)

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