海外株式見通し=米国、香港

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2024/3/22 10:30

【米国株】エヌビディア周辺や資源株の動向は?

 米主要株価指数は、先月21日のエヌビディア(NVDA)の決算発表以降も高値圏で推移している。18~21日にはカリフォルニア州サンノゼでエヌビディアの年次開発者会議「GTC」が開催された。特に、同社が創薬のための生成AI(人工知能)の強化に取り組んでいることが注目される。

 2月14日に提出した「フォーム13」によれば、エヌビディアは半導体設計の英アーム・ホールディングス(ARM)のほか、音声AIプラットフォームのサウンドハウンド(SOUN)、バイオテクノロジーのリカージョン・ファーマシューティカルズ(RXRX)、医療用画像開発のナノエックス・イメージング(NNOX)、自動運転のトゥーシンプル・ホールディングス(TSPH)などに出資している。

 一方で、長期金利の上昇とともに景気敏感株・バリュー銘柄への物色が強まる場合、エネルギー・資源関連が注目されそうだ。サウジアラビアを中心とする「OPECプラス」が6月末まで自主減産延長を打ち出す一方、石油の需要は増加する見通し。中国の景気刺激策への期待も当面続くとみられ、石油株には追い風が続く。

 CMX金先物価格は、最近まで3年以上レンジ上限を形成していた1オンス=2080ドル近辺の水準を大きく抜けてきた。FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ期待だけでなく、イラン議会選での保守強硬派の圧勝に伴う地政学リスクの高まりや、アルゼンチンのハイパーインフレ加速に伴うデフォルト(債務不履行)リスクなども意識されている。銅先物価格も最大生産・消費国である中国で銅精錬メーカーが協調減産に合意したことから急伸している。金鉱株や非鉄金属株などにも好機が到来した可能性がある。

【香港株】金・銅高騰と関連銘柄

 中国では不動産不況の深刻な悪化や株式市場の低迷を受けて、実物資産のである金(ゴールド)の投資妙味が増している。

 家計の貯蓄とローンについて年別の新規増加額の推移を見ると、2016~18年はローン金額が貯蓄額を上回っていたが、19年に逆転し、新型コロナ禍に不動産不況の悪化が加わった22年以降は大幅な貯蓄超過となっている。

 これは、家計部門の投資余力が拡大していることも意味する。中国では海外資産への投資への規制が厳しい半面、ゴールドはSGE(上海金取引所)で人民元建ての取引が可能だ。SGE指標価格も国際的に認知度が高まっており、個人の金買い加速も期待される。

 中国の大手銅精錬会社はこのほど、原材料不足に対応するため一部の赤字工場で異例の協調減産を実施することで合意したと発表。減産率や規模は各精錬所が独自に判断するという。そうしたことなどから、上海先物取引所の銅価格も急伸している。

 上海の金と銅の先物取引は国際相場としても影響力が強く、中国の金や銅を採掘・生産する企業への注目度が株式市場で高まるだろう。政府系の非鉄鉱山会社である五鉱資源(エムエムジー、1208香港)は南米、アフリカ、豪州を中心に銅や亜鉛、鉛、金・銀などの採掘と精錬を行う。

 このほか、中国最大規模の金鉱山である紫金鉱山(福建省)のほか、多宝山銅鉱山(黒龍江省)などを擁する紫金鉱業集団(スージン・マイニング・グループ、2899香港)、中国最大の総合銅メーカーで中国(かつアジア)最大級の露天掘り銅鉱山である徳興銅鉱(江西省)などを保有し、銅の精錬で国内最大級の工場を持つ江西銅業(ジャンシー・コパー、358香港)などの株価も上げ足を速めている。

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(フィリップ証券リサーチ部・笹木和弘)

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