【為替本日の注目点】ドル円154円台半ばまで続伸

為替

サーチナ

2024/4/16 10:19

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は大きく続伸。ジリ高の中、NYでは154円台に乗せ、米金利が上昇したことで、154円45銭まで上昇。ユーロドルはわずかに続落し、1.0621を付ける。

金利上昇を嫌気し、株式市場はほぼ全面安の展開。ダウは6日続落し、ナスダックは290ポイント下げ1万6000の大台を割り込む。小売売上高の上振れを受け、債券は反落。長期金利は4.6%台に乗せる。金は続伸。原油は小幅安。

4月NY連銀製造業景況指数 → ―14.3

3月小売売上高 → 0.7%

4月NAHB住宅市場指数 → 51

マーケット情報

ドル/円 153.86 ~ 154.45

ユーロ/ドル 1.0621 ~ 1.0660

ユーロ/円 163.52 ~ 164.44

NYダウ -248.13 → 37,735.11ドル

GOLD +8.90 → 2,383.00ドル

WTI -0.25 → 85.41ドル

米10年国債 +0.080 → 4.601% 

本日の注目イベント

中 中国3月小売売上高

中 中国3月鉱工業生産

中 1-3月GDP

独 独4月ZEW景況感指数

英 英3月失業率

英 英ILO失業率(2023年12月-24年2月)

欧 ユーロ圏2月貿易収支

英 ベイリー・BOE総裁講演

米 3月住宅着工件数

米 3月建設許可件数

米 3月鉱工業生産

米 3月設備稼働率

米 IMF世界経済見通し(WEO)

米 ジェファーソン・FRB副議長講演

米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、討論会で司会

米 パウエル・FRB議長、討論会に参加

米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演

米 企業決算 → J&J、BofA、モルガンスタンレー

加 カナダ3月消費者物価指数

 ドル円はついに155円が視野に入る水準まで上昇してきました。米3月の小売売上高が前年同月比で「0.7%」と市場予想を上回り、2月分も速報値の「0. 6%」から「0.9%」に上方修正されました。底堅い消費需要が、驚くほど堅調な米経済成長を支える構図が明確になり、FRBによる利下げ開始のタイミングをさらに遅らせるといった見方に米金利が上昇。ドル円は154円45銭まで買われました。個人投資家も注目する「実弾介入」はこの日も見られず、ドルの買い方にも微妙に安心感も出て来ている状況です。昨日も個人投資家からは「介入はないのか」、「政府日銀は何やっているのだろう」と言った、問い合わせが筆者にも何件かありました。これまで何度も繰り返してきた、「行き過ぎた動きに対してはあらゆる手段を排除せずに適切な対応を取る」といった言葉がむなしくなるなばかりです。

 シカゴ通貨先物市場では、円売りのポジションがおよそ17年ぶりの高水準に積み上がっており、このポジションの推移も当局の「介入決断の一つの材料」になるはずですが、まだ動く気配はありません。

 米大手資産運用会社の「ティー・ロウ・プライス」のグローバル債券ポートフォリオ・マネージャーは、「現時点で大幅な円高は日本の利益にならない。債務の持続可能性を巡る懸念があるため、利上げするにしてもあまりにも大幅な利上げは望んでいないだろう」と述べ、その上で、「円相場は引き続き下落し、さらに10%下げて1980年代以降の水準に沈む可能性がある」と述べています(ブルームバーグ)かなり衝撃的なコメントですが、ここからさらに10%となれば、170円に近づくことになります。筆者は個人的には「ドル高論者」です。当社で開催しているセミナーでは日ごろから「長期、例えば5年~10年先を見るのであれば、170-180円もないことはない」と話しており、基本的には支持したいと思いますが、それはあくまでも「長期スパン」で見た場合で、このコメントは現実的ではないと思われます。上記「債務の持続可能性を巡る懸念」というのは、日本の国債発行残高が巨額であることを指しているものと思われ、大幅な利上げは債務に関わる金利負担が増えるため大幅な利上げができないという論法かと思いますが、仮にドル円が170円に上昇するようなら、日本のインフレも高水準となり、大幅な利上げは避けられないと思われますが、どうでしょう。

 先週の消費者物価指数(CPI)の発表以来、景気の拡大を示唆する経済指標が相次いでいます。そのため、FRBによる景気抑制政策の転換が後ずれになるとの見方は市場を席巻し、FOMCメンバー自身の口からも出て来る状況です。NY連銀のウィリアムズ総裁はそのような状況の中でも、年内の利下げ開始を支持していました。総裁はブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューで、「金利をより正常な水準に戻すには、どこかの時点でプロセスを開始する必要があり、私自身の見解では、そのプロセスはおそらく今年開始されるだろう」と話し、インフレが徐々に低下し続ければ、年内に利下げを開始する可能性が高いと指摘しています。市場の動きを見ると、高水準の指標が相次いだことで、市場関係者には利下げ後ずれの「バイアス」がかかっている状況に見えます。米株式市場も「調整局面」に入って来た感もあり、期待される資産効果も減速すると見ています。いつものことですが、市場はオーバーシュート気味になっていることも想定されます。

 ここまで来たら、やはり次のメドは155円です。「それまでは介入はない」という見方も徐々に増している雰囲気ですが、ここはやはり最大限の注意が必要と考えます。本日のドル円は153円30銭~155円程度でしょうか。投機筋のポジションの偏りと節目の155円。本日はパウエル議長も討論会に登場する予定で、発言にも注意したいところです。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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