【為替本日の注目点】ドル円153円台半ばまで売られるも元の鞘へ

為替

サーチナ

2024/4/22 10:03

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は先週末の東京時間昼前に、イスラエルがイランの拠点を攻撃したとの報道で153円60銭までドルが売られる。その後は再び154円台を回復し、NYでは154円台半ばを中心に小動き。ユーロドルは依然として1.06台での膠着状態が続く。株式市場ではダウは大きく買われたが、その他の2指数は大きく下げ、明暗が分かれる。S&P500とナスダックは6日続落。債券は反発。長期金利は4.62%台へとやや低下。金は上昇し再び2400ドル台に。原油は続伸。

マーケット情報

ドル/円 154.47 ~ 154.66

ユーロ/ドル 1.0641 ~ 1.0678

ユーロ/円 164.48 ~ 165.02

NYダウ +211.02 → 37,986.40ドル

GOLD +15.80 → 2,413.80ドル

WTI +0.41 → 83.41ドル

米10年国債 ―0.021 → 4.621%

本日の注目イベント

欧 ユーロ圏4月消費者信頼感指数

 先週末の東京時間昼前に、「イスラエルがイラン中部の都市イスファハンをミサイル攻撃した」との報道にドル円は急落し、一時は153円60銭まで売られる場面がありました。日経平均株価が1300円を超える下げを見せたことも、リスク回避の流れを加速させたようです。ただその後は再び154円台を回復し、NYでは154円66銭までドルが買われ、元の鞘に戻った印象です。今朝の報道ではこの攻撃によってイラン核施設の一部が被害を受けたとの情報もあり、イスラエルとパレスチナ自治区ハマスとの戦争が、イランも巻き込み拡大しそうな状況になってきました。中東情勢の一段の悪化に、金と原油も買われています。

 ドル円は介入警戒感から155円には届いていませんが、154円台から下方では直ぐに買いが入り154円台に戻される展開になっています。この状況は151円台で長くもみ合った状況によく似ています。ここでは152円に近付くと売られ、何度も上値をテストし押し戻されましたが、一旦152円が抜けると一気に水準を変えて来ました。そのような場面が再びあるのかもしれません。鈴木財務相はワシントンでの「G20」閉幕後の会見で、「為替は金利差だけで決まるわけではない」と発言していましたが、米国が足許の高金利を維持しなければならない状況になり、日本ではマイナス金利は解除されたものの、その後金利は上昇しておらず、やはり金利差がドルを支えているのは事実のようです。植田総裁は「G20」後にワシントンのピーターソン国際経済研究所で講演を行い、円安進行に伴う物価高について、「無視できない大きさの影響になれば、金融政策の変更も有り得る」との認識を示しました。足許の円安の大きな要因の一つが円の金利の低さや緩和状態の続く金融環境である以上、日銀は「為替水準を見ながら金融政策を行っているわけではない」と従来から繰り返してきましたが、もはや金融政策と為替は極めて密接に相関しており、無視できない状況にあります。FRBが利下げを行い、日銀が利上げに踏み切れば、かなり円高方向に振れると思われますが、果たしてそのような状況がやってくるのか、今後のデータ次第です。

 米下院は20日、ウクライナに610億ドル(約9兆4300億円)相当の支援を新たに行う法案を可決しました。「ロシアの侵略に抵抗するウクライナの兵器備蓄が縮小する中、6カ月に及んだ政治的な行き詰まりがようやく打開された」(ブルームバーグ)との声がありました。イスラエルの防空システムの強化に52億ドルを盛り込む緊急予算と、中国の台湾侵略阻止を目的とした80億ドルの支援パッケージも併せて可決し、上院での可決を経てバイデン大統領の署名を持って成立する見込みです。バイデン大統領は声明で、上院に対して「法案を速やかに私に送るよう求める。ウクライナの戦場での必要性に応えるため、武器・装備を速やかに送れるようになる」と述べています。ゼレンスキー大統領は米ジョンソン下院議長に謝意を表す投稿を行いましたが、一方ロシアのパスコフ大統領報道官は、「ウクライナはさらに荒廃し、キーウ政権のためにさらに多くの人々が殺されることになるだろう」とコメントしています。

 結局、政府日銀は「G20」閉幕まで「実弾介入」は行っていません。ドル円は155円台には届いていませんが、センチメントは155円をテストしそうな状況かと思われます。「152-155円のどこかでは介入がある」と予想した筆者の見方も、「155円台に乗せて勢いがついたら」という方向に修正を余儀なくさせられそうです。ただ、それでも安心は禁物です。

 本日のドル円は154円―155円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ