<新興国eye>前週のインド株、海外株高や原油価格の後退、強い経済指標を受け反発=BRICs市況

新興国

2024/4/30 8:59

 前週(22-26日)のインド株式市場で、代表的株価指数SENSEX指数の26日終値は前日比0.82%安の7万3730.19、週間ベースでは19日終値比0.88%高と、3週ぶりに反発した。

 週明け22日は指数が上昇、25日まで5営業日続伸した。

 週前半は、アジア市場が堅調となったことを受け、インド市場でも買いが優勢となった。原油価格が中東情勢の懸念後退で低下したことも支援材料となった。インドは世界3大原油輸入国の一つとして知られ、原油高は懸念材料となる。モンスーン期(6-9月)の降雨量が平年並みになる見通しや政府の直接税の税収が予想を上回る見通しも買い安心感を強めた。

 その後は、海外株高が好感され、インド市場でも買いが一段と強まった。通信大手バーティ・エアテルや自動車大手タタ・モーターズ、HCLテクノロジーズなどIT株が上げをけん引。特に、産業・自動車用充電池生産大手アマラ・ラジャが年初来で37%高と、急騰した。韓国自動車大手の現代自動車と起亜自動車がインドでのEV(電気自動車)バッテリー生産の現地化に向け、地元充電池メーカーのエキサイド・エナジー・ソリューションズとの提携を発表したことが背景。

 週後半は、インドの3月総合PMI(購買担当者景気指数)の改定値が数年ぶりの高水準となり、買いが優勢となった。また、企業の四半期決算発表を受け、金属セクターが買われ、上げを主導。ただ、テック・マヒンドラやタタ・コンサルタンシー・サービシズ、インフォシス、ウィプロなどIT大手が低調な業績結果を受け、下落したため、上値が重くなった。

 その後は、引き続き、買いが強まったが、コタック・マヒンドラ銀行が11%急落したため、上値が抑えられた。インド準備銀行(中銀)がコタックに対し、クレジットカードの新規発行の停止を命じたことが背景。他の金融株も下落した。ただ、日立エナジー・インディアが再生可能エネルギーを拡大するため、年内にハイデラバードとプネーにグローバル・ケイパビリティセンター(GCC)を建設する計画を発表、19%急騰した。

 週末26日は反落。米1-3月GDP統計で成長率が予想以上に鈍化した一方で、3月PCE(個人消費支出)物価指数が予想以上に上昇したことを受け、米景気後退懸念が強まったことや、インフレ上昇で米利下げ開始が遅れるとの見方が強まり、売りが優勢となった。また、金融大手のバジャジ・ファイナンスとバジャジ・フィンサーブなどが急落、下げをけん引。

 今週(4月29日-5月3日)のインド市場は中東紛争やウクライナ戦争、西側の対ロ制裁などの地政学的リスク、原油価格の動向、世界経済、特に米・中・欧の景気動向や金融政策、米中関係、インド国内のインフレ動向、主要企業ニュースも注目される。主な経済指標の発表予定は30日の3月財政収支と3月インフレ部門生産高、2日の4月日経インド製造業PMI(購買担当者景気指数)など。

<関連銘柄>

 インドNIF<1678.T>、インドブル<2046.T>、インドベア<2047.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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