【GW特集】注目株(2)――竹内製作:米建機需要は堅調、老朽インフラ更新も追い風

 竹内製作所(6432)は、北米を中心とした建機需要の増加を取り込む。米国の住宅ニーズは根強く、老朽化したインフラの更新投資の恩恵も受けそうだ。

今期北米販売台数は前期比17%増へ

 竹内製作は主に、建設現場で使われるミニショベルやクローラーローダーを手掛ける建機メーカー。機動性が高く小回りが利く同社の車両は、大型の重機が入り込めない狭い場所での作業に適している。過酷な環境にも耐えられる構造が世界的に支持されており、海外売上比率が高い。用途も住宅の基礎工事から道路整備、上下水道工事、災害復旧、農地まで、幅広い領域で活躍する。

 今2月期の連結業績計画は、売上高が2240億円(前期比5%増)、営業利益が385億円(同9%増)。前期は欧米市場での販売台数増加により、収益ともに過去最高を達成したが、さらなる拡大を志向する。

 主力の北米では売上高は1308億円(前期比14%増)を予想し、販売台数は同17%増となる見通しだ。為替前提を1ドル=140円としていることから、現在の円安は上方修正の要素となる。同社の為替感応度(対ドル1円円安による年間営業利益の押し上げ額)は約4億円だ。

 北米の建機需要は高金利により全体的に後退していたが、住宅向けのニーズは底堅い。中古住宅在庫が減少し、新築の供給不足も続いている中で、住宅ローン金利がわずかに低下するだけでも着工増につながりやすい。長期的にはFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げに動くとみられ、竹内製作の伸び代と考えられる。

生産能力増強で需要取り込む

 また、米国では老朽化したインフラのストックが多く、潜在的な更新需要が大きい。2021年に成立したインフラ投資雇用法では、26年度までの5年間で5500億ドル(約86兆円)を老朽インフラ対策に充て、道路や橋りょう、水道の整備を進める。例えば、米道路交通局によれば橋りょうだけでも、全米で22万本の修理が必要であり、総延長は6100マイル(約9817キロメートル)を超えるとされる。

 そうした中で、同社は生産能力の増強に取り組んできた。22年には米サウスカロライナ州の工場でクローラーローダーのセミノックダウン生産を開始。昨年には日本の青木工場(長野県)での中型ショベルの製造にも着手した。今期中に生産能力を22年比で48%増に引き上げ、膨らむ需要を取り込む構え。また、電池式のミニショベルの開発も強化し、GX(グリーントランスフォーメーション)も商機につなげる。

 株価は4月12日の決算発表後にいったん値を崩す局面があったものの、全体相場の好転とともに持ち直し、同24日には再び上場来高値を更新した。中・長期成長の確度を踏まえると、まだ評価余地が残る水準だ。

(渡邉 亮)

(写真:123RF)

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