【GW特集】注目株(1)――エヌピーシー:再エネ投資に乗り相場は次のステージへ

 脱炭素機運の高まりを背景に、エヌ・ピー・シー(6255)が国内外の国策に乗る。太陽電池製造装置を手掛ける同社は、次世代技術の「ペロブスカイト」でも大きな商機が生まれそうだ。

太陽電池装置の受注高水準

 自動機メーカーの同社は、薄膜系の太陽電池の製造装置で世界的な有力メーカーに位置付けられる。米ファーストソーラー向けを中心に豊富な導入実績を誇る上、パネルの解体装置やリサイクルビジネスも積極化することで、循環的に需要を取り込む体制を構築している。

 今8月期の連結営業利益は21.5億円(前期比2.2倍)への拡大を計画する。大口顧客向けの案件が進ちょくする中で、好採算の部品販売も好調に推移。また、国内の電子部品向けのFA(工場自動化)装置の売上が前倒しされることなどを背景に、従来予想(15.8億円)から大きく増額修正している(4月10日)。

 2月末の受注残高が134億円(前年同月末比12%増)と高水準を維持している。上期の受注高は前年同期比16%減となったものの、今期見込まれる新規案件は下期のウエートが大きいもようだ。

ペロブスカイトも商機大

 日本発の次世代技術である、ペロブスカイト太陽電池でも存在感を示す。印刷物のように塗工する方法で製造するペロブスカイトは、フィルムのように折り曲げられる特徴があり、岸田首相は国内企業の量産支援の方針を明らかにしている。

 エヌピーシーの装置はこの分野でも引き合いを強めている。ペロブスカイトは化合物薄膜系の太陽電池に当たり、その領域を得意とするファーストソーラーとの間で構築したノウハウは他の自動機メーカーに対する大きな優位性と言える。実際、ペロブスカイトに参入した複数の企業から既に受注を獲得している。

 今期の営業利益予想は、過去最高だった2009年8月期(26.3億円)以来の高いレベルに相当する。世界的に相次ぐ異常気象を踏まえると、カーボンニュートラルへの取り組みが待ったなしの状況。同社の業績ステージは、14年にわたって営業利益が10億円を下回っていた低迷期を抜けたと考えられる。相場も新局面を迎えるだろう。

 一部では、米国でトランプ前大統領が返り咲いた場合の環境政策の後退を懸念する向きもあるが、同国ではカリフォルニア州をはじめ州ごとに脱炭素へ向けた法整備が進んでいるため、リスクは限られる。

(鈴木草太)

(写真:123RF)

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