【為替本日の注目点】ドル円、下落分の45%戻す
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円は続伸。米金利が上昇したことで155円69銭まで買われる。今回の下落分の45%ほど戻したことになり、「半値戻し」も視野に。ユーロドルは1.07台でのもみ合いが続く。株式式市場はまちまちの展開の中ダウは6日続伸し、3万9000ドルの大台を回復。債券は反落。長期金利は4.49%台に上昇。金は続落し、原油は反発。
マーケット情報
ドル/円 155.35 ~ 155.69
ユーロ/ドル 1.0740 ~ 1.0757
ユーロ/円 167.03 ~ 167.34
NYダウ +172.13 → 39,056.39ドル
GOLD -1.90 → 2,322.30ドル
WTI +0.61 → 78.99ドル
米10年国債 +0.032 → 4.494%
本日の注目イベント
日3月景気先行指数(CI)(速報値)
日3月景気一致指数(CI)(速報値)
中 中国 4月貿易統計
英 BOE金融政策発表
英 ベイリー・BOE総裁会見
英 BOE金融政策委員会(MPC)議事録
中 中国 4月貿易収支
米 新規失業保険申請件数
米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、座談会に参加
ドル円は再びジリジリと値を戻し、NYでは155円69銭までドルが反発しました。植田日銀総裁は前日の夕方、首相官邸で岸田首相と会談し、円安が経済物価に与える影響があることから、動きは注視することを確認し合いました。その後もドル円の水準と物価に対する影響についての言及が増えてきており、さらに円安が進むようだと、「日銀の金融政策にも影響がある」と、円安けん制とも取れる発言を行っていますが、市場はむしろ円を売る動きをゆっくりと進めており、円安に歯止めはかかっていません。言い換えれば、「実弾介入」がなければ、円が売られる流れは変わっていません。
今回、160円22銭の高値を付けた時点で「実弾介入」があり、その後さらに1回実施され、その後の米雇用統計の下振れで151円86銭までドルが売られました。昨日のNYでは155円69銭まで反発したことから、今回の下落分の45%程度を戻したことになり、「半値戻し」が156円04銭となることから、その水準も視野に入ってきたことになります。仮にこの水準をクリアすれば、『半値戻しは全値戻し』という格言もあるように、さらに上昇する可能性もありそうです。ただ、157-158円台では再び「実弾介入」がある可能性も十分あり、注意は必要です。今朝の報道では、テレビ東京が「4月末から5月にかけて、政府・日銀が2回にわたって為替介入を行った」と、政府関係者との取材で判明したと伝えています。「短時間であれほどの動きは介入以外には考えられない」と、筆者は何度か述べましたが、同時に、財務省はなぜ「介入についてはノーコメント」を続けてきたのか。それによってどのようか効果があったのか、良く分かりません。むしろ、「さらに投機的な動きがあれば、強力に介入する」といった、毅然とした姿勢を見せた方がより効果があったのではないでしょうか。
ボストン連銀のコリンズ総裁は8日マサチューセッツ工科大学(MIT)で講演を行い、「最近の経済活動とインフレ率の上振れは、インフレ率が持続的に2%に向っているとの確信が高まるまで、政策を現在の水準に維持しなければならない可能性が高いことを示唆している」と指摘し、前日のミネアポリス連銀のカシュカリ総裁に近い認識であることを示しました。その上で総裁は、「最近のデータから、従来の想定以上に時間がかかるだろうと考えている」と述べ、「インフレ鈍化の道のりが曲折を経ても驚くべきではない」とも指摘し、「現在の状況を踏まえると、進展に時間がかかり、まだら模様が続くことを認識した上で、整然とした忍耐強さが必要だ」と語っています。(ブルームバーグ)FOMCメンバーの中でも今後のインフレ傾向については、「楽観か忍耐か」という見方に分かれており、来週15日に発表される米4月の消費者物価指数(CPI)がますます注目されることになります。インフレ阻止を狙うFRBにとって4月の雇用統計の結果を受け一息つけたところですが、さらに4月のCPIが追い風になるのかどうかといった状況です。仮にこの数字がFRBにとって追い風になるようだと、利下げ観測が一段と息を吹き返し、ドル円の動きにも変化が出てくる可能性があります。
本日のドル円は154円80銭~156円30銭程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
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