<新興国eye>豊田通商、カンボジアでトヨタ車の生産工場を稼働

新興国

2024/5/17 8:49

 5月2日、豊田通商は、カンボジアのプノンペン経済特区で建設してきた自動車組立工場が稼働を開始し、記念式典を開催したと発表しました。記念式典には、フン・マネット首相、植野篤志日本大使他多数が参加しました。

 豊田通商は、現地法人の豊田通商マニュファクチャリング(カンボジア)により、ロイヤルグループ・プノンペン経済特区にトヨタブランドの自動車の組立工場を建設してきました。報道によりますと、投資額は3670万ドル(約52億円)で、150名を雇用するとしています。トヨタのピックアップトラック「ハイラックス」およびSUV「フォーチュナー」をセミノックダウン生産する予定です。2024年の生産計画は、ハイラックス1030台、フォーチュナー290台の合計1320台としています。

 豊田通商では、「このたびの組立生産開始は、カンボジアにおける豊田通商の30年を超える軌跡を踏まえ、新たな足跡を残すものです。豊田通商は、カーボンニュートラルの実現や人財育成など、カンボジアの皆さまの幸せに貢献することを目指し、今後も同国での事業を進めてまいります。」としています。

 カンボジアでは、完成車輸入時の税金(関税・特別税等)が高いため、国内販売向けに部品を輸入して組み立てるノックダウン生産を行う工場が増え始めています。また、カンボジアの周辺国であるタイやベトナムには、トヨタ車の部品を製造する多くの企業が進出しています。その一部は、カンボジアでも部品を製造しており、こうした部品を南部経済回廊を通じて輸送し、組み立てる方式は、完成車輸入時の税金を避けるとともに、製造コストの安い部品を選んで組み合わせることで、完成車のコスト引き下げに有効であるものと見られます。カンボジアで「トヨタ」車が製造されるということは画期的なことであり、今後の発展が大いに期待されます。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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