米19年12月中古住宅販売、前月比3.6%増の年率554万戸―市場予想上回る

経済

2020/1/23 9:35

<チェックポイント>

●販売件数、約2年ぶり高水準に急増―年間では18年から横ばい

●販売価格(中央値)は前月比1.2%上昇の27万4500ドル―2カ月連続で上昇

●未販売住宅(在庫)は3カ月分―6カ月連続で低下し供給不足続く

 NAR(全米不動産業協会)が22日発表した19年12月中古住宅販売件数(季節調整済み)は、前月比3.6%増の年率換算554万戸と11月の同1.7%減から増加に転じた。18年2月以来1年10カ月ぶりの高水準に戻り、市場予想の542万戸も上回った。住宅ローン金利の低下や雇用・所得の堅調な伸びに支えられた。季節要因を無視できる前年比は10.7%増と、6カ月連続で前年水準を上回った。19年全体の販売件数は534万戸となり、18年の水準に並んだ。

 NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ヤン氏は、「住宅購入の環境は好ましい状態が続いており、20年もこの状態が続く可能性が高い。米経済は230万人の新規雇用を創出し、住宅ローンの金利は4%を下回っている。住宅着工件数も年率160万戸に増加した。もし、この傾向が続けば、住宅販売はかなり増加する」と楽観的に見ている。ただ、「住宅在庫(供給)不足は続いており、特に、新規住宅取得者に悪影響が及ぶ」と懸念も示している。

 住宅販売を左右する大きな要因の一つである住宅ローン金利は30年固定金利の平均約定金利でみると、18年秋をピークにして19年から低下傾向にある。12月も3.72%と8カ月連続で4%を割り込んだ。また、労働省が10日発表した12月雇用統計で賃金(平均時給)は前年比2.9%増と、インフレ加速の兆しと見られる3%増に近い堅調な伸びを維持しており、住宅購入者にとっては追い風となっている。

 住宅供給の過不足感を示す12月時点の未販売住宅(在庫)は前月比14.6%減の140万戸と大幅に減少し、同月の販売ペースに換算した在庫水準も3カ月分と11月の3.7カ月分を下回り、6カ月連続で低下。また、1年前の3.7カ月分も下回り、前年比も8.5%減(戸数ベース)と低迷が続いている。

 中古住宅の販売ペースをみると、販売物件が12月に市場に残っていた期間は手ごろな価格帯の物件不足などで41日間と11月のやや38日間から長期化した。12月に販売された物件のうち、全体の43%(11月は45%)が市場に出されて1カ月弱で販売された。

 地域別販売件数は、全米4地区のうち、全体の4割以上を占め最もウエートが大きい南部が前月比5.4%増(前年比12.4%増)の236万戸、西部も同4.6%増(同10.7%増)の114万戸、北東部も同5.7%増(同8.8%増)の74万戸と、増加し、全体を押し上げた。一方、中西部は同1.5%減(同9.2%増)の130万戸となった。

 中古住宅価格は中央値で前月比1.2%上昇の27万4500ドルと2カ月連続で上昇し、前年比も7.8%上昇と、実質賃金上昇率(0.6%)や名目賃金上昇率(2.9%)を大幅に上回る高い伸びで、94カ月連続で前年水準を上回っている。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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