ECB、政策金利を据え置き―市場予想通り
2020/1/24 9:47
<チェックポイント>
●「物価目標に収束するまで政策金利は現状か一段の引き下げ」の文言維持
●ユーロ圏経済は依然下ブレリスクがある―ラガルド総裁
●インフレ率の物価目標の達成目指し金融政策の戦略見直しへ
欧州中央銀行(ECB)は23日の定例理事会で、主要政策金利のうち、市場介入金利である定例買いオペの最低応札金利(リファイナンス金利)を0.00%、下限の中銀預金金利をマイナス0.50%に、上限の限界貸出金利を0.25%に、いずれも据え置くことを決めた。市場予想通りだった。
今回の会合は19年12月にECBの総裁に就任したクリスティーヌ・ラガルド氏にとって2回目となる。
ECBは会合後に発表した声明文で、金融政策の見通しについて、「今後は経済予測の期間中、インフレ見通しが2%をやや下回る水準(物価目標)に十分に収束するまで、われわれの政策金利は現在の水準か、または、一段と低い水準となることが予想される」との文言を維持し、利下げを継続する可能性を示唆した。また、19年11月から月200億ユーロのペースで国債などの資産を買い入れる量的金融緩和(QE)も継続することを確認した。
最新のユーロ圏19年12月消費者物価指数(HICP、消費者物価指数から医療費や持ち家コストなどを除いたユーロ圏の統一インフレ指標)は前年比1.3%上昇と11月の同1.0%上昇から伸びが加速したが、物価目標(2%上昇弱)を大幅に下回る状況が続いている。
ラガルド総裁は会合後での会見で、ユーロ圏の景気見通しについて、「世界経済の減速の影響を受けており、下ブレリスクが残る」との見方を据え置いた。
今回の会合では、これまでの金融政策の見直しを開始することで意見が一致した。ラガルド総裁は前回の会合後の会見で、ユーロ圏の経済成長の勢いが弱いことを認めた上で、ドラギ前総裁が19年9月会合で決めたQE再開などの景気刺激策について、「景気が落ち着き、コアインフレ率の上昇の兆しが見られるものの、必要に応じ、われわれは金融政策手段を調整する用意がある」とインフレ率を物価目標に近づけるため、追加対策の必要性を指摘していた。
また、見直しについては、「金融市場の安定や雇用、環境の持続性を踏まえた上で、物価安定の達成に必要な手段やアプローチ、金融政策手段、金融・経済分析、市場との対話、さらには低金利の副作用についても検討し、年末までに結論を出す」とした。
見直しに要する期間は、11-12月までとの見通しを示した。その上で、「03年に見直された金融政策を変更するということではないが、現行の金融政策が総合的に見て効果があるのか判断する必要がある」と述べた。さらに、「見直しの一環として低金利が引き起こす副作用について検討する」と指摘。低金利が低成長を意味するとの懸念を示した上で、「高い成長と高い金利のほうが望ましい」とした。ただ、現時点ではそうした状況にはなっていないと述べている。
市場の一部では、ユーロ圏経済が低迷状態から抜け出せない状況下では金融政策を現状維持するしか選択肢がなく、ECBのインフレ率の物価目標への収束を目指す金融政策の戦略の見直しで時間を稼ぐしか方法がないとみている。
次回の金融政策決定会合は3月12日に開かれる予定。
提供:モーニングスター社
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