<新興国eye>チェコ中銀、市場予想に反し0.25ポイント利上げを決定

新興国

2020/2/7 11:40

 チェコ国立銀行(中央銀行)は6日の金融政策決定会合で、政策金利の2週間物レポ金利を0.25ポイント引き上げ2.25%にすることを決めた。今回の会合では7人中3人の委員が現状維持を主張し、利上げに反対した。市場予想は現状維持だった。

 前回19年12月会合では2人の委員が年内のインフレ上ブレリスクに対応するため、0.25ポイントの利上げを主張し、5人が現状維持を支持したが、今回の会合ではインフレ上ブレリスクが高まったとして利上げ支持が4人に増え、形勢が逆転した。

 中銀は18年6月会合で4カ月ぶりに利上げを再開。その後も同8月、9月、11月と4会合連続で利上げを決めたが、同12月に現状維持に転換し、19年3月まで3会合連続で現状維持とした。同5月会合で18年11月以来半年ぶりに利上げを再開したが、同6月から前回12月会合まで5会合連続で現状維持を決めていた。

 中銀は会合後に発表した声明文で、利上げを決めた理由について、「今回の政策決定は最新の2月経済予測に基づく」とした。この日発表された新経済予測では、21年のインフレ率の見通しが引き上げられた。21年1-3月期は前年比2.3%上昇(前回11月予測は2.1%上昇)、また、21年4-6月期も2.1%上昇(同1.9%上昇)と高めに予想しており、短期的にインフレが加速するとの見通しが利上げの理由となっている。

 一方で中銀は、年内のインフレ加速を一時的とみており、賃金の伸びの鈍化により、インフレ率は21年上期(1-6月)までに2%上昇の物価目標に近い水準に低下するとの見方を示した。前回会合時は経済予測の期間中(20年後半から21年初め)に2%上昇の物価目標に向かって収束するとしており、今回の会合では物価目標への収束期間が20年後半から21年6月に遅れるとの見方に切り替えた。

 また、「コアインフレ率(間接税率の変更の影響を除くため一定税率ベースでみたコアインフレ率)も金融政策が波及する一定の期間内に2%上昇に戻る」とし、「これは年初の利上げによってサポートされる」とした。

 中銀は金融政策が波及する一定の期間内のインフレ見通しに対する上ブレ・下ブレの両リスクについて、「概ね均衡している」とした。

 景気見通しについては、「19年のチェコの経済成長率は伸びが鈍化したが、今後は外需の回復により、安定した回復ペースで徐々に伸びが高まっていく」との見方を示した。新経済予測では、GDP(国内総生産)伸び率は19年が2.5%増(前回予測時は2.6%増)、20年も2.3%増(同2.4%増)と、いずれも下方修正されたが、21年は2.8%増(同2.8%増)と伸びが加速するとしている。

 次回会合は3月26日に開かれる予定。

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 iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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