米1月雇用統計、非農業部門雇用者数は前月比22.5万人増―市場予想大きく上回る

経済

2020/2/10 10:28

<チェックポイント>

●建設業や運輸・倉庫、教育・健康サービスが急増の一方、製造業は急減

●失業率は3.6%―就業率悪化で前月から0.1ポイント増加

●平均時給は前年比3.1%増―19年12月を上回る伸び

 米労働省が7日発表した1月雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比22万5000人増と、19年12月の同14万7000人増を大きく上回り、19年全体の月平均17万5000人増や市場予想の16万4000人増に対しても大幅に超過した。市場では1月の雇用者数が急増したのは暖冬となったことが大きいと見ている。特に建設業が暖冬を受け増勢を示した。

 19年全体では前回発表時の210万8000人増から209万6000人増に、また18年も同268万人増から231万人増に、いずれも下方改定された。

 1月非農業部門雇用者数の内訳は、建設業が前月比4万4000人増と、19年12月の同1万1000人増から伸びがさらに加速し、2カ月連続の増加となった。一方、製造業は同1万2000人減と、前月の同5000人減に続いて2カ月連続の減少。このうち、自動車・同部品は同1万0600人減と、19年12月の同1300人増から減少に転じたほか、米航空・宇宙大手ボーイング<BA>の最新鋭小型ジェット旅客機「737MAX」型機の生産停止で輸送機械装置は同9500人減と19年12月の同4000人増から減少に転じた。

 サービス業は前月比17万4000人増と、19年12月の同14万7000人増からさらに伸びた。特に、運輸・倉庫業が同2万8300人増(12月は同3900人増)、教育・健康サービス業も同4万7200人増(同2万5000人増)と伸びが目立った。

 失業率は3.6%と、19年12月の3.5%を上回り、市場予想の3.5%も上回った。労働市場への参加の程度を示す労働参加率(軍人を除く16歳以上の総人口で労働力人口を割ったもの)が63.4%と、19年12月の63.2%から上昇したが、市場参加者のすべてが仕事を見つけられなかったため、失業率が押し上げられた。

 市場が注目していた賃金(平均時給)の伸びは雇用市場がタイトとなっていることから、前年比3.1%増と19年12月の同3.0%増を上回った。

 今回の強い統計結果にもかかわらず、統計発表直後、ニューヨーク債券市場では長期金利が0.021ポイント低下の1.6237%となった。市場では、中国湖北省武漢で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大から世界景気の後退懸念が強まっていることが雇用統計の好結果を打ち消したとみている。

 市場では、今回の雇用統計が強かったことから、FRB(米連邦準備制度理事会)は次回3月17-18日FOMC(米連邦公開市場委員会)で政策金利を据え置くとの見方が根強い。ただ、新型肺炎の感染拡大による世界景気や米経済成長率が鈍化し、米雇用者増のペースが落ちてくれば、FRBは景気後退回避策として利下げを検討するとの見方も出ている。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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