FOMC議事録、多くの委員が「当分は現状維持が望ましい」との判断示す

経済

2020/2/20 10:19

<チェックポイント>

●新型コロナウイルスによる景気下ブレ懸念残るも、米経済と世界経済の先行きを楽観視

●現在の金融緩和の程度は物価目標の達成に有用と判断

●物価目標に一定の許容レンジを設定するかも議論

 FRB(米連邦準備制度理事会)は19日に公表したFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録(1月28-29日開催分)で、1月初めに中国で発生した新型コロナウイルス(COVID-19)が今後の米経済や世界経済の先行き見通しに対し下ブレリスクとなる懸念を指摘した。ただ、少なくともFOMC開催時点では、米経済と世界経済の先行きを楽観的に見ていることが明らかになった。

 この点について、議事録では、「委員は経済活動の先行き見通しに対する(景気下ブレ)リスクが多く残るものの、前回19年12月会合時点に比べ、より好ましいものになっている」とし、その上で、「米中貿易協議での第1段階合意やUSMCA(米国・メキシコ・カナダ自由貿易協定)の締結、世界経済成長の安定化の兆しなどが企業の業況感を押し上げている」と指摘している。

 FOMCのあとも、パウエルFRB議長は11-12日の議会証言で、「新型コロナウイルスの影響を注視する」と発言した一方で、新型コロナウイルスの影響がすぐに米経済に及んだとしても、「現在の強い雇用市場と堅調な賃金の伸びが続かなくなる根拠はない」と証言し、米経済の先行き見通しに強い自信を示し、金融政策の現状維持の可能性を示唆している。

 今後の金融政策の見通しについても、議事録では「委員は当分の間、現在の金融政策を維持することが米経済を支えるのに役立つか議論した。また、委員は現在の金融緩和の程度は物価目標の達成に有効との判断を示した」と、多くの委員が当分の間、金利据え置きが望ましいとの判断を示している。

 FRBの年内据え置き判断とは対照的に、CBOT(シカゴ商品取引所)のFF(フェデラル・ファンド)金利先物市場では、9月までに1回の小幅利下げの確率を72%、年末にもう1回の追加利下げの確率を49%織り込んでいる。

 また、インフレ見通しについても、「多くの委員がインフレ率は物価目標の2%上昇に収束すると予想している」ことが示された。一方、「2人の委員がインフレ代替指標でみると、19年にコアインフレはやや上昇しており、物価目標と合致する水準となりうる」と指摘している。

 さらに、議事録では委員が物価目標に一定の許容レンジ(範囲)を3つの方法で設定することの是非について議論したことも明らかした。一つ目は予め許容レンジを特定せず、市場などとの対話を通じて決める方法。2つ目は、この許容レンジならFRBは金融政策対応を検討しないで無視できるようなレンジの設定。3つ目は、FRBが一方的に望ましいと判断する許容レンジを設定すること。ただ、「シメントリックな物価目標の許容レンジを設定することは、FRBが現在、物価目標を下回っているインフレ状況について懸念していないと誤解される可能性があり、また、インフレ期待が許容レンジの下限に低下していく恐れがある」とも述べている。

<関連銘柄>

NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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