<新興国eye>トルコ中銀、1週間物レポ金利1ポイント引き下げ―ウイルス対策強化

新興国

2020/3/19 11:34

 トルコ中央銀行は17日、中国で発生した新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大の悪影響を抑制するため、19日予定の金融政策決定会合を2日前倒しで開催し、主要政策金利である1週間物レポ金利を現行の10.75%から1.00ポイント引き下げ9.75%とすることを決めた。利下げは前回2月会合に続いて7会合連続となる。

 過去の利下げ幅を見ると、15年2月以来4年5カ月ぶりに利下げに踏み切った19年7月は4.25ポイント、同9月は3.25ポイント、同10月は2.50ポイント、同12月は2.00ポイント、20年1月は0.75ポイント、前回2月会合も0.50ポイントと利下げ幅は縮小傾向にあった。ただ、今回の会合はFRB(米連邦準備制度理事会)やイングランド銀行(中央銀行)など世界各国中銀によるウイルス感染対策の大幅利下げに協調する形で1.00ポイントと利下げ幅拡大の方向に舵を切った。

 トルコ中銀は会合後に発表した声明文で、「コロナウイルス感染拡大で世界経済の成長見通しが悪化している。先進国や新興国の各国中銀は協調し景気支援策を打ち出している」と協調利下げに踏み切った理由を述べた。また、「原油価格の急落やウイルス感染拡大に伴う世界景気後退、さらには感染拡大阻止のための旅行自粛などの規制により、年末時点のインフレ見通しはディスインフレ(物価上昇率の低下)リスクが高まった」としている。

 今後の金融政策の見通しについて、「パンデミック(感染症の世界流行)のトルコ経済への悪影響を抑制するため、健全な金融市場や企業のキャッシュフロー(資金繰り)を確保することが極めて重要だ。金融市場の安定を支援するため、今後も包括的なウイルス感染対策の金融措置を講じていく」と追加利下げなど金融緩和措置の用意を匂わせた。

 さらに、中銀はウイルス感染拡大の悪影響に直面している企業のキャッシュフローを改善するため、銀行への直接融資制度の導入や輸出企業を支援するための輸出信用の拡充など金融市場への流動性潤沢供給の措置も発表した。

 具体的には銀行の緊急な資金需要に対応するための当座貸越制度の導入やレポ取引(売り戻し条件付)オペを通じ金融市場に従来の7日物に加え、91日物の長めの資金を供給すること、プライマリーディーラー(中銀との直接取引を認められたディーラー)への流動性供給の拡大、通貨スワップの対象をドル以外にユーロや金に拡大、銀行が中銀に積み立てる外貨建ての預金準備率を20日から5%引き下げることなどとしている。

 次回の金融政策決定会合は4月22日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 iS新興国<1362.T>、上場MSエマ<1681.T>

提供:モーニングスター社

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