<新興国eye>チェコ中銀、0.75ポイント追加利下げ―パンデミックによるリセッション懸念示す

新興国

2020/3/27 11:06

 チェコ国立銀行(中央銀行)は26日の金融政策決定会合で、中国で発生した新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック(感染症の世界流行)による経済や金融市場への悪影響を抑制するため、政策金利の2週間物レポ金利を0.75ポイント引き下げ、過去最低の1.00%とすることを全員一致で決めた。

 中銀は19年5月に18年11月以来半年ぶりに利上げを再開したあと、同6月から同12月まで5会合連続で現状維持を決めていた。20年2月に利上げ(0.25ポイント)を再開したものの、その後の新型コロナウイルスのパンデミックを受け、翌3月16日の緊急会合で0.50ポイントの引き下げに転換。今回の通常会合ではさらに0.75ポイントの引き下げを決め、2会合で計1.25ポイントの引き下げ幅となった。

 中銀は追加利下げを決めたことについて、「新型コロナウイルスのパンデミックにより、世界やチェコ経済の先行き見通しが劇的に変わった。世界各国のウイルス封じ込め対策により、(経済活動が抑制され)世界貿易や生産や消費にも悪影響が及んでいる」とした上で、「海外の経済活動の低下とインフレの低下に加え、国内のウイルス感染阻止対策の悪影響により、チェコ経済がリセッション(景気後退)となり、それが年内まで続く可能性がある」との見方を示し、一段の景気支援が必要になったとしている。

 また、「新型コロナウイルスの感染拡大により、チェコ経済が悪化し、銀行の貸出債権の信用性に悪影響(不良債権の増大)が及ぶ可能性が極めて高い」と金融機関に対するリスクが高まることに懸念を示した。

 中銀は、景気支援策として、銀行による企業や家計への貸し出しを増やす目的で、景気変動抑制的(不況時には支援、景気回復時には抑制が可能)な資本バッファー(リスクを吸収するために必要なクッション)のリスク資産に対する比率を4月1日から現在の2%から1%に引き下げることも決めた。中銀は、「銀行は資金資本バッファーを徐々に取り崩すことにより、また、配当金の支払いを延期することにより、銀行のファイナンス(資金調達)能力や実体経済も支援することが可能になる」としている。

 今後の金融政策の見通しについては、「必要があれば、さらに利下げすることや、金融市場で流動性ひっ迫に対処するための対策を講じること、行き過ぎた為替相場の変動に対して金融政策ツールを使うこと、金融政策ツールの範囲も広げて金融市場を安定させる」としている。

 次回の通常会合は5月7日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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