<新興国eye>チェコ中銀、0.75ポイント追加利下げを決定―事実上ゼロ金利水準に

新興国

2020/5/8 11:11

 チェコ国立銀行(中央銀行)は7日の金融政策決定会合で、中国で発生した新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック(感染症の世界流行)による国内経済や金融市場への悪影響を一段と抑制するため、政策金利の2週間物レポ金利を0.75ポイント引き下げ、過去最低の0.25%とすることを5対2の賛成多数で決めた。2委員は0.50ポイントの利下げを主張した。新金利は11日から実施される。

 中銀は20年2月に19年5月以来6会合ぶりに利上げ(0.25ポイント)を再開したものの、新型コロナの感染拡大を受け、3月16日に緊急会合を開き、急きょ0.50ポイントの引き下げに転換。前回3月27日の通常会合でさらに0.75ポイント引き下げ、今回の会合でも同率の大幅引き下げを決めた。3会合連続の利下げとなり、下げ幅は計2.00ポイントに達した。

 中銀は追加利下げを決めたことについて、「パンデミックによる需要減少や感染拡大防止の経済抑制を受け、世界経済の成長率が急減速し、それに伴う外需の低下やチェコ国内の家計や企業の景況感の悪化が長引くことにより、20年のチェコ経済の成長率は大幅に減速する見通しだ。チェコ経済は21年末までパンデミック以前の正常な状態に戻らない」とし、景気悪化が長期化するとの懸念を示した。

 今回の会合で発表された中銀の最新中期経済予測によると、チェコのGDP(国内総生産)は、20年に8%減と急減、21年に4%増に回復する。前回予測では20年は2.3%増、21年は2.8%増だった。

 国内の金融市場の状況については、「現時点ではわれわれが直ちに金融機関に流動性を供給することによって、金融市場に介入する必要性はみられない」とした。ただ、「予防的措置として、ノンバンク向けの流動性供給ツールを準備中で、ツールは短期資金の形で中銀からノンバンクに融資されることになる」としている。銀行向けの流動性供給オペで、新たに担保資産としてMBS(不動産担保証券)を含めることや、3カ月物の資金供給の導入も検討していることも明らかにした。

 次回の通常会合は6月24日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ