米4月小売売上高、前月比16.4%減―市場予想を大幅に超えて悪化

経済

2020/5/18 9:34

<チェックポイント>

●外出制限でアパレルなど12業種急減―増加はオンライン小売のみ

●ガソリン売上高、前月比28.8%減―自動車・同部品は同12.4%減

●コア小売売上高、前月比15.3%減―4-6月期GDPを押し下げ

 米商務省が15日発表した4月小売売上高(季節・営業日調整後)は速報値ベースで前月比16.4%減の4039億ドルとなり、市場予想コンセンサスの同12.0%減より大幅に悪化した。下落幅は3月の同8.3%減(改定前は8.7%減)と約2倍となり、前年比も21.6%減と、3月の5.7%減(改定前は6.2%減)を上回る大幅減少となった。

 市場では、中国で発生した新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック(感染症の世界流行)による消費需要の減少に加え、政府による感染防止の経済活動の抑制策の悪影響が3月よりも強く現れるとみていた。多くの州では4月に入っても生活必需品や食料品を除いた店舗の一時閉鎖や営業時間の短縮、製造業における工場閉鎖、さらには大規模な従業員の一時帰休、外出規制(自宅待機)などのウイルス感染対策を一段とエスカレートしていた。

 内訳は、全13業種のうち、12業種が軒並み2ケタの大幅減少となった。

 減少幅が最も大きかったのは、月ごとに変動が激しいガソリンスタンドを除くと、アパレルの前月比78.8%減(3月は49.4%減)、次いで電子機器・家電の同60.6%減(同11.0%減)、家具の同58.7%減(同21.1%減)、スポーツ用品・趣味・楽曲・書籍の同38.0%減(同17.8%減)、レストラン・バーの同29.5%減(同29.7%減)、どのカテゴリーにも入らない「その他小売」も同24.7%減(同14.1%減)だった。

 このほか、百貨店やスーパーなどの量販店を含む一般小売販売も同20.8%減(同7.1%増)。このうち、百貨店は同28.9%減(同22.2%減)と大幅に落ち込んだ。

 増加したのはオンライン小売の1業種だけだった。米オンライン小売大手アマゾン<AMZN>や米小売最大手ウォルマート・ストアーズ<WMT>などのオンライン小売は同8.4%増(同4.9%増)と堅調だった。

 ガソリンスタンドは、ガソリン価格の急落や外出制限を反映し、前月比28.8%減と、3月の同16.5%減に続いて4カ月連続の減少となった。

 ガソリンスタンドを除いた小売売上高は同15.5%減(3月は7.6%減)。また、自動車・同部品を除いた小売売上高は同17.2%減(同4.0%減)と、市場予想の同8.2%減より大幅に悪化した。

 一方、ガソリンスタンドと自動車・同部品に加え、建築資材や飲食レストランを除いた、いわゆる“コア小売売上高”(コントロール・グループ)は前月比15.3%減と、大幅に落ち込んだ。これは4-6月期GDP(国内総生産)の約7割を占める個人消費を押し下げることを意味する。

 市場では、5月に一部の州で経済活動が再開されたものの、第2波の感染爆発を警戒しながらの段階的なロックダウン(都市封鎖)緩和となるため、統計指標の悪化が続くと予想している。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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