米4月住宅着工件数、前月比30.2%減の89.1万戸―市場予想下回る
2020/5/20 10:22
<チェックポイント>
●北東部と西部はいずれも前月比43%減と落ち込み顕著
●建築許可件数、3カ月連続で減少―一戸建てが前月比24%減
●一戸建て完成件数、2カ月連続で大幅減少
米商務省が16日発表した4月住宅着工件数(季節調整値)は年率換算で前月比30.2%減の89万1000戸と急落し、3月の同18.6%減(改定前は22.3%減)の127万6000戸に続いて3カ月連続の減少となった。市場では90万-95万戸に急減すると予想していたが、想定以上の落ち込みとなった。地域別でみると北東部が大きく減少しており、ニューヨーク都市圏の新型コロナ感染者数が全米最大となった影響が大きいとみられている。
また、過去2カ月の着工件数の改定値は計1000戸の上方改定となった。2月は前回発表時の156万4000戸戸から156万7000戸へ、3000万戸の上方改定となったが、1月は161万9000戸から161万7000戸へ、2000戸の下方改定となった。これにより、過去3カ月(2-4月)の月平均は124万5000戸と、3月時点の月平均148万7000戸を大幅に下回った。
市場では、5月から感染者数が減少し、ロックダウン(都市封鎖)を緩和する州が増え始めたこと、さらに、労働形態もオンラインで日常業務のコミュニケーションを行うテレワークにシフトし、住宅購入需要が増え始めていることから、消費者は住宅市場に戻ると見ている。
カテゴリー別では、月ごとに変動が激しいアパート(5世帯以上)が前月比40.3%減の23万4000戸と、3月の同23.7%減の39万2000戸に続いて3カ月連続の減少。一方、主力の一戸建ても同25.4%減の65万戸と、3月の同15.8%減の87万1000戸に続いて2カ月連続の大幅減少となった。
一戸建ての地域別の着工件数は、北東部が同66%減と、最大の落ち込みとなり、全体の約3割を占める西部も同41.6%減、全体の約5割を占める南部も前月比15%減、中西部も同13.3%減となった。この結果、アパートを加えた全体では、北東部が同43.6%減、西部も同43.4%減と急減し、南部も同26%減、中西部も同14.9%減と、いずれも減少した。
一方、前年比は29.7%減と、3月の同6.1%増から減少に転じ、前年水準を11カ月ぶりに下回った。一戸建ては同24.8%減となり、11カ月ぶりに前年を下回っている。アパート(5世帯以上)が同38.6%減だった。
先行指標である住宅建築許可件数は、一戸建てとアパート(5世帯以上)がいずれも前月比で減少したため全体では前月比20.8%減の107万4000戸となったが、市場予想の100万戸を上回った。
内訳は、一戸建てが前月比24.3%減の66万9000戸と、前月の同11%減の88万4000戸に続いて2カ月連続で減少した。一方で、アパートは同12.4%減(前月は同6.8%増)の37万3000戸と、減少に転じた。通常、一戸建ての場合、建築許可を受けてから6カ月後に着工し、2世帯以上の集合住宅の場合は1年後に着工となり時間差がある。このため、一戸建ての建築許可件数の影響は今後数カ月先に現れる。
完成住宅件数は前月比8.1%減の117万6000戸となった。一戸建てが前月比4.9%減の86万5000戸と、3月の同9.9%減の91万戸に続いて2カ月連続の減少となり、住宅供給不足懸念が強まった。アパート(5世帯以上)は同16%減と、大幅減となった。
建築中件数は前月比1.7%減の119万5000戸と、2カ月連続で減少し、4カ月ぶりに120万戸を割り込んだ。一戸建てが同3.4%減の51万4000戸、また、アパート(5世帯以上)も同0.4%減の66万9000戸となった。
<関連銘柄>
NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、
SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、
NYダウベア<2041.T>
提供:モーニングスター社
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