<新興国eye>前週のブラジル株、インフレ鈍化やペトロブラス上昇を受け7週続伸=BRICs市況

新興国

2023/6/12 9:08

 前週(5-9日)のブラジル株式市場は9日のボベスパ指数が前日比1.33%高の11万7019.48、週間ベースでは2日終値比3.96%高と、7週続伸した。

 週明け5日は指数が上昇。7日まで5営業日続伸した。8日は「キリスト聖体祭」の祝日で休場だった。

 週前半は、前週末に発表された米5月新規雇用者数が市場予想を上回る33万9000人増となり、高インフレや高金利にもかかわらず、米経済の強じん性が示されたことを好感、買いが優勢となった。また、指数ウエートが高い国営石油大手ペトロブラスや金融大手ブラデスコが堅調となり、上げを主導した。その後は、海外株高を受け、ブラジル市場でも買いが広がった。通貨レアル高も支援材料となった。ただ、市場ではVAT(付加価値税)創設など税制改革の詳細発表やブラジルと米国の金融政策発表(それぞれ21日と14日)を控え、慎重な取引となった。

 週後半は、5月IPCA(拡大消費者物価指数)が前年比3.94%上昇(前月比0.23%上昇)と、前月の同4.18%上昇(同0.61%上昇)や市場予想の同4.04%上昇(同0.33%上昇)を下回ったことを受け、利下げ期待が高まり、買いが一段と強まった。また、ヴァーレとペトロブラスが上げをけん引した。

 週末9日は6営業日続伸。FRB(米連邦準備制度理事会)が14日の会合で利上げを一時停止するとの観測や、ブラジル中銀は8月から利下げに転換するとの観測が強まり、買いが優勢となった。米シカゴ・マーカンタイル取引所ではFRBが金利を据え置く確率を73%、また、7月会合での利上げ再開の確率を50%織り込んでいる。これを受け、レアル高が一段と進み、対ドルの終値で4.8761レアルと、22年6月7日の4.8741レアル以来、1年ぶり高値となったことも好感された。

 今週(12-16日)の株式市場は、ウクライナ情勢や西側の対ロ追加制裁、台湾情勢や米中関係の悪化懸念、中国の景気動向、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、ルラ政権の経済・財政・税制政策、FRBの金融政策決定会合(14日)も注目される。主な経済指標の発表予定は14日の5月小売売上高や15日の4月サービス業成長率、16日の6月IGP-10インフレ指数(5月11日-6月10日まで物価変動指数)とGDP伸び率の先行指標である4月IBC-Br(経済活動指数)など。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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