ECB、政策金利を0.25ポイント引き上げ―次回7月会合でも利上げ継続示唆

経済

2023/6/16 9:24

<チェック・ポイント>

●インフレ率の高止まりを警戒

●23年コアインフレ率見通しを5.1%上昇に引き上げ

●ラガルド総裁はスタグフレーション認める

 欧州中央銀行(ECB)は15日の定例理事会で、主要政策金利のうち、市場介入金利である定例買いオペの最低応札金利(リファイナンス金利)を0.25ポイント引き上げ、4.00%とすることを全員一致で決めた。市場の予想通りだった。利上げは8会合連続。

 ECBは会合後に発表した声明文で、インフレは低下傾向にあるものの、高止まりの状態が続くと予想。インフレ率を物価目標の2%上昇に抑えるためには追加利上げが必要だったとの見解を示した。

 最新の6月経済予測によると、ECBはインフレ率の全体指数が23年で平均5.4%上昇(前回3月予測は5.3%上昇)、24年で3%上昇(同2.9%上昇)、25年で2.2%上昇(同2.1%上昇)と予想しており、インフレ率が物価目標に戻るにはあと2年かかるとした。

 コア指数は23年で5.1%上昇と、前回予測の4.6%上昇から0.5ポイントも引き上げたほか、24年は3%上昇(前回予測は2.5%上昇)、25年は2.5%上昇(同2.2%上昇)とし、コアインフレ率の高止まりの長期化を予想している。

 成長率の見通しについては、23年で0.9%増、24年で1.5%増、25年で1.6%増と予想している。

 今後の金融政策については、前回5月会合時と同様に今後の経済指標やコアインフレ率の動向などを見極めながら決めるとしながらも、インフレ率の抑制のために政策金利を引き上げる必要性を指摘しており、7月会合で追加利下げの可能性を示唆した。

 ECBのラガルド総裁は会合後の会見で、ユーロ圏経済が理論上のリセッション(景気低迷)入りしたにも関わらず、物価が上昇していることから、スタグフレーションに入ったことを認めた。その上で、「今後、短期的には経済成長は弱い伸びが続く」としたが、年内にはインフレ率が低下し、成長率が高まるとしている。

 ラガルド総裁は、「利上げサイクルが終わったかと聞かれれば、まだ目的地に着いていない」とも述べた。最終金利がどうなるかはその時になってみないと分からないとし、7月に追加利上げしたとして、その後の9月会合での対応については明確にはしなかった。

 次回の会合は7月27日に開かれる予定。

提供:ウエルスアドバイザー社

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