米5月住宅着工件数、前月比21.7%増の163.1万件―市場予想上回る

経済

2023/6/21 11:06

<チェックポイント>

●4月分は134万件に下方改定

●一戸建て、アパートともに回復―中古住宅の供給不足が背景か

●建築許可件数は3カ月ぶりに増加

 米商務省が20日に発表した5月の住宅着工件数(季節調整値)は、年率換算で前月比21.7%増の163万1000件となり、市場予想の平均値である140万件を大幅に上回った。前年比は5.7%増と、13カ月ぶりに前年水準を上回った。一方、4月分は140万1000件から134万件に下方改定された。

 着工件数の内訳は、月毎に変動が激しいアパート(5世帯以上)が前月比28.1%増の62万4000件、主力の一戸建も同18.5%増の99万7000件と急回復した。住宅ローン金利の上昇が続いているものの、中古住宅の供給不足を受け、一戸建て新築住宅の需要が高まっている。

 一戸建てのバックログ(受注残)は前月比1.4%減の13万8000件と減少、アパートも同5.4%減となり、全体では同3.1%減の28万2000件となった。

 先行指標である建築許可件数は前月比5.2%増の149万1000件と3カ月ぶりに増加、市場予想の142万5000件を上回った。市場では中古住宅の供給不足により新築需要が堅調となってきたことや、サプライチェーンのボトルネックが緩和したため、積極的に許可申請を増やし始めたと見ている。

 許可件数のうち、一戸建ては前月比4.8%増の89万7000件と4カ月連続で増加、アパート(5世帯以上)も同7.8%増の54万2000件と急増、全体の許可件数を押し上げた。

 ただ、建築許可が下りたあとの建築中件数は、一戸建てが前月比0.6%減の69万5000件と、12カ月連続で減少、2カ月連続で70万件を割り込んだ。22年の需要低迷で新築在庫が増加しており、着工にブレーキがかかっている。対照的に、アパート(5世帯以上)は同1.8%増の97万8000件となり、全体では同0.7%増(前年比0.5%増)の168万9000件と増加した。

 4-5月の建築中件数の月平均(168万3000件)が1-3月期の月平均(168万7000件)を下回ったことから、市場では7月27日発表予定の4-6月期GDP(国内総生産)速報値の住宅投資部門を若干押し下げると見ている。

 他方、一戸建ての完成住宅件数は前月比3.9%増の100万9000件と増加に転じ、アパート(5世帯以上)は同24.2%増の49万3000件と急増、全体では同9.5%増の151万8000件となった。

 市場では、住宅市場は底入れし、安定化の兆しが出始めたとみている。住宅ローン金利の高止まりが続いて住宅購入者のアフォーダビリティ(住宅取得能力)は低下しているが、住宅ローン金利が6%未満になれば新築需要がさらに高まると予想している。

提供:ウエルスアドバイザー社

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