米5月中古住宅販売件数、前月比0.2%増の年率430万件―市場予想上回る

経済

2023/6/23 9:14

<チェックポイント>

●前年比は22カ月連続で前年水準を下回る

●供給不足続く―住宅価格は4カ月連続で上昇

●NAR、「深刻な在庫不足で依然低調な販売続く」と

 NAR(全米不動産業協会)が22日に発表した5月の中古住宅販売件数(季節調整済み)は、前月比0.2%増の年率換算430万件と3カ月ぶりに増加に転じ、市場予想の平均値である425万件)を上回った。また、前月分は速報値の428万件から429万件に上方改定されている。ただし、季節要因を無視できる前年比は20.4%減と、22カ月連続で前年水準を下回った。

 住宅供給の過不足感を示す5月時点の未販売住宅(在庫)は前月比3.8%増の108万件と、2カ月連続で回復したが、05年の住宅ブーム時の200万件を46%下回り、供給不足が続いている。

 住宅の販売ペースは、販売物件が5月中に市場に残っていた期間が18日間と、1年前の16日間を上回ったが、前月の22日間より早まった。また、5月中に販売された物件のうち、全体の74%が市場に出てから1カ月弱で販売されており、すぐに売り切れる状況だ。

 販売ペースで換算した在庫水準は3カ月分と、前月の2.9カ月をやや上回ったものの、適正水準とされる5-6カ月分には依然遠く、供給不足感は否めない。NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ヤン氏は、「販売物件の3分の1が複数の住宅購入希望者から打診を受けている」と指摘している。

 5月の住宅価格(中央値)は前月比2.6%上昇の39万6100ドルと、4カ月連続で伸びが加速した。主力の一戸建は前月比2.8%上昇の40万1100ドルと、4カ月連続で上昇している。一方、手ごろな価格帯の住宅供給不足と高水準の住宅価格を反映し、5月の新規住宅取得者の比率は28%と、前月の29%から低下した。過去平均の40%を大きく下回る状況が続いている。

 NARのヤン氏は、今後の見通しについては、「新築住宅は在庫が豊富なため、コロナ禍前のような好調なペースで売れているが、中古住宅は在庫量が19年水準の約半分であるため、販売活動は大きく落ち込んでいる」とし、低調な販売が続くと見ている。

 市場では住宅ローン金利が依然高水準のため、低金利時に中古住宅を購入した所有者は持ち家の売却に慎重となり、供給不足を引き起こしていることが、住宅販売の低調の最大要因と見ている。また、住宅ローン金利が低下するタイミングで住宅販売が急増する可能性があるものの、深刻な住宅在庫不足に加え、住宅ローン金利が高止まりしていることや、景気の先行きが不透明なこと、最近の銀行危機を受け、住宅ローンの審査基準が厳しくなる可能性などを考えると、消費者は住宅を購入するには時期が悪いと見ている。

提供:ウエルスアドバイザー社

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