FOMC議事録、利上げ一時休止後も追加利上げの必要性を指摘(2)

経済

2023/7/6 9:34

 FRB(米連邦準備制度理事会)が6月会合で金利据え置きを決めた1つの要因であるインフレの現状認識について、議事録では、「委員はインフレが容認できないほど高いことで意見が一致した。5月のCPI(消費者物価指数)を含め、インフレの低下ペースが予想よりも緩やかなことを指摘した」と、懸念を示す一方で、「少数の委員は(家賃などの)住宅サービス価格は最近、緩やかになっているものの、住宅在庫の記録的な不足状況や依然堅調な住宅購入需要、新規テナントの賃料上昇などを考慮すると、住宅サービス価格インフレの見通しには上ブレリスクがある」と警戒感を強めていることも分かった。

 また、インフレ期待の見通しについて、議事録では、「一部の委員は予想を上回る堅調な消費需要と依然、タイトな雇用市場を考慮すると、長期的なインフレ期待が抑制されなくなる可能性がある」と指摘、堅調な雇用市場と消費需要がインフレ期待を抑制することができないとの見方も示された。

 その上で、議事録では、「過去1年間、インフレ率の全体指数は緩やかになったが、コア指数は年初から持続的な緩和を示していない。委員は総供給と総需要のバランスを改善し、インフレを抑制するには、実質GDP(国内総生産)の成長率がトレンド(潜在成長率)を下回り、労働市場の状況がある程度軟化する期間が必要になると考える」とし、さらなる金融引き締めが必要との認識で一致した。

 FRBは6月会合で金利据え置きを決めたもう一つの根拠として、3月に起きた銀行危機による信用ひっ迫を挙げたが、議事録では、「委員は米国の銀行システムは家計や企業の信用状況が厳しくなり、経済活動、雇用、インフレに重しとなる可能性が高い」と指摘、銀行危機による貸し出し条件の厳格化が進むことにより、景気が冷やされ、利上げに相当するインフレ抑制効果があることを強調したが、「これら(信用ひっ迫)の影響の程度が依然として不確実なため、引き続きインフレリスクに細心の注意を払っている」と、警戒感を示しており、次回7月会合での追加利上げの可能性を明確に否定していない。

 また、議事録ではニューヨーク連銀のオープン・マーケット・トレーディング・デスクによるプライマリーディーラーと市場参加者への調査結果を示している。それによると、「大多数が今回の会合では金利変更はないと予想。コンセンサス予想では24年初めまで金利変更がないことを示しているが、今後の会合で追加引き締めが行われる可能性が明らかだと見ている」とし、7月会合以降での追加利上げを予想している。

提供:ウエルスアドバイザー社

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