<新興国eye>カンボジア証券取引所―2社が上場、株式市場活性化に期待
2023/7/14 8:51
6月末にカンボジア証券取引所に、2社が相次いで上場しました。
6月27日、携帯通信サービス「セルカード」を展開するCAMGSM社が上場しました。CAMGSM社は、カンボジアの財閥ロイヤル・グループ傘下の携帯通信事業者で、携帯通信の主要3社の一角です。IPO価格は2270リエルでしたが、上場初日は高値2370リエル、終値は2360リエルと若干の上昇でした。
6月28日、教育機関のMengly J Quach Education Plc(MJQE)が、カンボジア証券取引所に上場しました。IPO価格2080リエルに対して、上場初日の終値は2200リエルと若干の上昇でした。
カンボジア証券取引所の主市場への上場は、2020年のペステック社以来で3年ぶりとなります。カンボジア証券取引所の主市場に上場している企業数は、今回の2社の上場で合計9社となり、カンボジア証券取引所では、今後の上場企業数の増加に期待を示しています。カンボジア証券市場は、2020-2022年は新型コロナの影響もあって株価は沈滞した状況が続きましたが、新規上場により上場企業数が増加していくことは、市場の活性化にも効果があるものと期待されます。
カンボジア証券取引所への上場は、カンボジアの民間企業の資金調達手段の多様化に大きな役割を果たしつつあります。また、上場により、企業情報・財務情報の開示等が実施されており、企業の透明性確保にも貢献しているものと見られます。今般、カンボジアの財閥系企業であるCAMGSM社が初めて上場を承認されたことは、大きな意義があるものと見られます。
【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。
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提供:ウエルスアドバイザー社
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