<新興国eye>2023年上半期、カンボジアからの輸出は横ばい

新興国

2023/7/28 8:47

 カンボジア経済財政省の関税消費税総局の発表によりますと、2023年上半期(1-6月)のカンボジアからの輸出は、対前年同期比0.8%増の114億6448万ドル(約1兆5800億円)でした。輸入は、22.9%減の122億2918万ドル(約1兆6900億円)でした。

 輸出先を国別にみると、1位は米国で対前年同期比8.9%減の42億3610万ドル(約5850億円)で、全体の36.9%を占めています。2位はベトナムで21.7%増の14億2961万ドル(シェア12.5%)、3位中国16.6%増7億1328万ドル(シェア6.2%)、4位日本0.6%増5億4501万ドル(シェア4.8%)、5位タイ6.5%増5億2789万ドル(シェア4.6%)となっています。

 輸入は、第1位は中国で対前年同期比1.2%増の54億4007万ドル(シェア44.5%)、2位ベトナム10.2%減18億7266万ドル(シェア15.3%)、3位タイ19.6%減14億4778万ドル(シェア11.8%)、4位インドネシア26.7%増5億7314万ドル(シェア4.7%)、5位シンガポール81.6%減3億7176万ドル(シェア3.0%)となっています。

 品目別輸出では、縫製品が第1位で対前年比19.0%減の36億5441万ドル(シェア31.9%)、2位電気部品108.7%増15億8657万ドル(シェア13.8%)、3位旅行用品18.1%減8億3581万ドル(シェア7.3%)、4位穀物39.8%増8億68万ドル(シェア7.0%)、5位履物17.2%減7億61万ドル(シェア6.1%)等となっています。

 品目別輸入は、1位石油製品5.3%減17億3599万ドル(シェア13.8%)、2位縫製原料21.7%減13億2933万ドル(シェア10.9%)、3位電気機器20.3%増7億7710万ドル(シェア6.4%)、4位機械5.7%減6億8988万ドル(シェア5.6%)等です。品目別輸出で、日系企業等が製造・輸出している電気部品が大きく伸びたことが注目されます。また、品目別輸入では、原油価格が安定していることから輸入金額が減少に転じていること、縫製品の発注減少のため縫製原料の輸入も減少していること等が注目されます。

 カンボジアの輸出産業は、新型コロナの影響から予想よりも早く回復してきました。しかし、主要輸出先の米国・欧州の景気減速等の影響で、今年は逆風を受けることが懸念されています。

【筆者:鈴木博】

1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。

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