<新興国eye>トルコ中銀、23年インフレ見通しを58%上昇に引き上げ―7月四半期インフレ報告書

新興国

2023/8/2 8:50

 トルコ中央銀行は前週(7月27日)、最新の7月四半期インフレ報告書を発表し、23年末時点のインフレ見通し(中心値)を前回5月調査時点の前年比22.3%上昇から同58.0%上昇に35.7ポイント引き上げた。

 引き上げた理由について、中銀は、「通貨トルコリラの下落と賃金、税金調整によりコスト圧力が高まる一方で、需要圧力も高まり、インフレ率の見通しが大幅に上昇した。さらに、食品物価に見通しも引き上げられた」とし、主にリラ安の進行による輸入物価と食品の物価上昇率の見通しの引き上げが要因としている。

 また、中銀は24年末時点の見通しも前回予想の8.8%上昇から33.0%上昇に24.2ポイント引き上げ、25年末時点の見通しも前回予想の5.0%上昇から15.0%上昇に10.0ポイント引き上げた。中銀は、「23年の残りのインフレ率も強い需要とコスト圧力によって上昇するが、段階的な金融引き締めにより、24年にはインフレ率は低下傾向になる」と予想している。

 4-6月期のインフレ率は前年比38.2%上昇と、前期(50.5%上昇)から12.3ポイント低下した。引き続き、エネルギー価格の伸びが減速していることに加え、2月6日に南東部を襲った大規模地震(死者数約5万人)後の災害復旧で急激な物価上昇が懸念されたものの、政府が5月の大統領選を控え、一時的に5月の天然ガス料金を無料化したため、トルコ統計局がCPIを構成する天然ガス価格を5月にゼロにしたことがインフレ急減速に寄与したとしている。

 景気の状況については、「1-3月期GDPは地震の影響にもかかわらず、強い内需が寄与し、前年比4.0%増(前期比0.3%増)となった」とした上で、「経済指標は4-6月期も引き続き内需が外需を上回っていることを示している。5月鉱工業生産は前期比1.4%増と、地震による生産への悪影響を補った一方で、5月小売売上高指数も同4.6%上昇と、大幅に上昇した」としている。

 また、雇用の状況ついては、「震災の影響で1-3月期に雇用の伸びは鈍化したが、4-6月期には加速、5月時点の季節調整後の雇用者数は四半期ベースで0.9%(29万8千人)増となり、震災前の水準を上回った」としている。労働市場への参加の程度を示す労働参加率も前期比0.3ポイント上昇の53.7%となり、この結果、失業率も前期比0.2ポイント低下の9.8%となったとしている。

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 上場MSエマ<1681.T>

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