米7月住宅着工件数、前月比3.9%増の145.2万件―市場予想をやや上回る

経済

2023/8/17 9:45

<チェックポイント>

●中古住宅の供給不足で新築住宅の購入希望者が増加

●建築許可件数は144.2万件―市場予想下回る

●市場は住宅ローン金利上昇で新築需要の後退を予想

 米商務省が16日発表した7月の住宅着工件数(季節調整値)は年率換算で前月比3.9%増の145万2000件となり、市場予想の平均値である145万件をやや上回った。一方、前月分は139万8000件(改定前は143万4000件)に下方改定されている。前年比は5.9%増だった。

 市場では7月の着工件数が前月比で増加に転じたのは、6月が低い伸びを示したあとの反動増もあるが、中古住宅の深刻な供給不足を背景に新築住宅の購入を検討する住宅購入希望者が増えるなか、建築業者が新築住宅の着工を加速させたと見ている。

 内訳を見ると、月毎に変動が激しいアパート(5世帯以上)は前月比横ばいの46万件となったが、主力の一戸建は同6.7%増の98万3000件となり、5月(101万2000件)以来の高水準となった。23年に入って2番目の多さで、コロナ禍前の19年6月時点の86万4000件を上回るペース。

 一方、一戸建てのバックログ(受注残)は前月比0.7%減の14万件、アパートは同0.7%減といずれも供給は抑制されており、全体では同0.4%減の27万7000件となった。

 先行指標である建築許可件数は前月比0.1%増の144万2000件となったが、市場予想の147万件を下回った。主力の一戸建ては同0.6%増の93万件、アパート(5世帯以上)は同0.2%減の46万4000件となった。

 建築許可が下りたあとの建築中件数は、一戸建てが前月比0.7%減の67万8000件、アパート(5世帯以上)は同1.1%増の98万6000件となり、全体では同0.4%増(前年比0.1%減)の168万1000件だった。

 一戸建ての完成住宅件数は前月比1.3%増の101万8000件となったが、アパート(5世帯以上)は同38.8%減の29万7000件と大きく減少し、全体では同11.8%減の132万1000件となった。22年1月(125万6000件)以来の低水準。

 市場では最近の住宅ローン金利の上昇により、住宅購入者のアフォーダビリティが低下しているため、米利上げサイクルが終了し、利下げに転換して住宅ローン金利が6%未満になるまでは新築需要は拡大しないと見ている。

提供:ウエルスアドバイザー社

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