米7月中古住宅販売件数、前月比2.2%減の年率407万件―市場予想下回る

経済

2023/8/23 8:39

<チェックポイント>

●NAR、「在庫不足と金利上昇で買い手不利の状況」と

●在庫は増加も販売ペースは依然適正水準を下回る

●住宅価格の伸びは6カ月ぶりに減速も、過去3番目の高水準

 NAR(全米不動産業協会)が22日に発表した7月の中古住宅販売件数(季節調整済み)は、前月比2.2%減の年率換算407万件と2カ月連続で減少し、市場予想の平均値である415万件を下回った。500万件割れは13カ月連続で、1月以来6カ月ぶりの低水準。前年比は16.6%減と、24カ月連続で前年水準を下回った。

 販売物件が7月中に市場に残っていた期間は20日間と、1年前の14日間や前月の18日間を上回り、住宅供給の過不足感を示す7月時点の未販売住宅(在庫)は前月比3.7%増の110万件となったが、販売ペースで換算した在庫水準は3.3カ月分と、適正水準とされる5-6カ月分を大きく下回る状況が続いている。

 NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ヤン氏は、「在庫状況と住宅ローン金利の2つの要因が今の販売活動を動かしており、残念ながら、どちらも買い手不利となっている」と、在庫不足と住宅ローン金利の上昇が住宅販売の足かせになっていると指摘。今後、住宅ローン金利が低下すれば、より多くの買い手と売り手が市場に参入すると予想している。

 住宅価格(中央値)は前月比0.8%低下の40万6700ドルと、6カ月ぶりに伸びが減速したが、過去3番目の高水準。相変わらず、格安なフォークロージャー(住宅不動産の差し押さえ=競売)物件やショートセールズ(フォークロージャー手続きに進む前の早い段階で債務者と債権者が協議して住宅を任意売却)物件などのディストレスト物件の供給が細っている。

 手ごろな価格帯の住宅供給不足と高水準の住宅価格を反映し、7月の新規住宅取得者の比率は30%となり、前月の27%を上回ったものの、過去平均の40%も大きく下回った。

 市場では、住宅ローン金利が高水準のため、低金利時に中古住宅を購入した所有者が持ち家の売却に慎重となり、供給不足を引き起こしていることが住宅販売の低調の最大要因とみている。深刻な住宅在庫不足に加え、住宅ローン金利の上昇で住宅購入者のアフォーダビリティ(住宅取得能力)が低下していること、需要と供給の両方が減少していることが販売不振の要因となっている。

提供:ウエルスアドバイザー社

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