パウエルFRB議長、ジャクソンホール会議で「追加利上げの用意ある」と

経済

2023/8/28 8:02

<チェックポイント>

●米経済の見通しは「曇り空」

●インフレ率の高さには強い懸念―今後も雇用市場注視

●これまでの利上げ効果は十分に浸透していないと

 パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は25日、米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれた毎年恒例の国際経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で講演し、今後の金融政策について、追加利上げと据え置きの両方の可能性があるとして、今後の経済指標を踏まえて判断するとの姿勢を示し、「米経済の見通しが『曇り空』(はっきりせず、不確実の状況)となっていることを考慮し、慎重に行動する」と述べるにとどめた。

 パウエルFRB議長は講演で、依然としてインフレ率が高い点について強い懸念を示した。足元でインフレ率の伸びは鈍化しているものの、パウエルFRB議長は、「過去2カ月の良好なインフレ指標は必要なことの始まりにすぎない」とクギを刺した。その上で、「適切と判断すれば、追加利上げの用意がある」として、インフレ率が物価目標に向かって低下していると確信できるまで、金利を高い水準で維持する方針とした。

 また、米経済が良好な点がインフレ率のさらなる上ブレリスクを高め、利上げを正当化させるとし、一定期間、経済が弱含むことに加え、「雇用市場の状況にある程度の緩みが必要になる」と述べ、雇用市場が緩和せず、タイトな状況が続く場合も追加利上げが必要になる可能性があると指摘している。

 一方、パウエルFRB議長は、これまでの利上げの成果が景気やインフレに及んでくるまでに時間を要しており、「今後も大幅な遅れが生じる可能性がある」と述べ、FRBの過去1年半にわたる累積的な利上げの効果がまだ十分に経済に及んでいないとの見方を示した。

 インフレ率の高さを懸念した発言はタカ派的と受け止められたが、これまでの利上げの米経済への効果が十分に及んでいないとの考えについて、市場の一部はハト派的な一面をうかがわせたとの見方がある。FRBでは、利上げの効果が完全に及んでいないと考える陣営と、既に十分及んでいると考える陣営に分かれており、後者は年内に追加利上げが必要と考えているためだ。

 他方、最近では10年国債利回りが16年ぶりの高水準に急上昇し、市場では米経済を冷やす可能性があると懸念を強める中、フィラデルフィア地区連銀のパトリック・ハーカー総裁とボストン地区連銀のスーザン・コリンズ総裁は24日、米メディアのインタビューで、最近見られる長期借入コストの上昇は経済をある程度冷ますのに寄与するとし、追加利上げが必要にならない可能性が十分あると主張している。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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