【為替本日の注目点】ドル円、ジャクソンホールでの発言を受け小幅に上昇

為替

サーチナ

2023/8/28 10:10

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 注目されたジャクソンホールでは、パウエル議長の発言がバランスを取りながらも「タカ派寄り」だったことでドル円は146円64銭まで上昇。今月17日に記録した年初来高値をわずかに更新。ユーロドルは続落。1.0766まで売られ、2カ月半ぶりの安値に。株式市場は3指数が揃って上昇。パウエル議長の講演を受けて売られる場面もあったが、前日まで大きく売られたこともあり反発。債券は一時売られたが、引け値ではほぼ横ばい。金は続落し、原油は続伸。

マーケット情報

8月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 69.5

ドル/円 145.73 ~ 146.64

ユーロ/ドル 1.0766 ~ 1.0841

ユーロ/円 157.63 ~ 158.25

NYダウ +247.48 → 34,346.90ドル

GOLD -7.20 → 1,939.90ドル

WTI +0.78 → 79.83ドル

米10年国債 -0.002 → 4.235%

本日の注目イベント

豪 豪7月小売売上高

日 6月景気先行指数(CI)(改定値)

日 6月景気一致指数(CI)(速報値)

米 8月ダラス連銀製造業景況感指数

 ジャクソンホールでは、パウエル議長は「タカ派寄り」の発言を行いながらも、バランスの取れた内容の発言を行うのではないかと予想していましたが、結果的にはほぼ想定通りで、市場での混乱は見られませんでした。議長は「インフレ率はピークからは下がってきており、それは喜ばしい展開だが、なお高すぎる」と指摘し、「適切と判断すれば追加利上げに動く用意がある。インフレがわれわれの目標に向って持続的に低下していると確信できるまで、政策を景気抑制的な水準に据え置く考えだ」と述べました。議長は同時に、次回9月のFOMC会合で、市場予想通り政策金利を据え置く可能性があることも示唆しており、「これまでの道のりを踏まえると、次回の会合では入手するデータと変化する見通し、そしてリスクを精査しつつ、慎重に政策を進めていくスタンスだ」と語っており、データ次第との考えを示しながらも、バランスを取っていたと見られますが、個人的には思ったほど「タカ派的」ではなかったという印象です。

 経済については、GDPと個人消費のデータは力強いとし、米経済が当初の想定ほど速いペースで鎮静化していない可能性があるしています。今週末に発表される「8月の雇用統計」と来月13日に発表される「8月の消費者物価指数」が極めて重要で、このデータ次第で9月の利上げがあるのかどうかも決まってきそうです。また31日(木)に発表される個人消費支出(PEC)データも当然注目されます。結局今回の発言では、9月会合で利上げがあるのかどうかのヒントは得られず、現時点では「五分五分」といったところです。ジャクソンホールではラガルドECB総裁も講演を行っています。総裁は、「インフレ率を目標値へ下げるため必要に応じて金利を高水準に設定し、必要な限りその水準を維持する」と述べ、「現在の環境に照らし合わせれば、これは、インフレ率を中期目標の2%へと適時に戻すため、ECBが必要な限り金利を十分景気抑制的な水準に設定することを意味する」と語り、こちらも次回会合で利上げがあるのかどうかのヒントはなかったようです。また植田日銀総裁はパネル討論会で、「基調的なインフレは依然として目標の2%を若干下回っていると、われわれは考えている。日銀が現行の金融緩和の枠組みを維持しているのは、それが理由だ」と述べ、これまでの主張を繰り返するにとどまっていました。

 7月の日本の生鮮食品を除くコアCPIは、前年同月比で「3.1%」でしたが、植田氏は「年末にかけて鈍化する見込みだ」と語っていました。

 ロシア連邦捜査委員会は、23日に墜落したジェット機の乗客に名前のあった民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏の死亡を確認したと発表しました。声明によると、DNA鑑定の結果、乗客乗員10名全員の死亡が確認されたとしています。プリゴジン氏を支えていたワグネル幹部のウトキン氏や、ワグネルの財務を担当していたチェカロフ氏も墜落機に搭乗していました。今回の墜落はプーチン氏の指示による「暗殺説」が根強くありますが、ロシア大統領府のペスコフ報道官は「真っ赤なうそ」と一蹴しています。

 ドル円はわずかですが、年初来高値を更新してきました。ユーロドルでも欧州景気の鈍化が現実味を帯びてきたこともあり「ドル高・ユーロ安」が鮮明になってきました。しばらくはドルの緩やかな上昇が続く可能性が高いようです。円高に振れる可能性があるとすれば政府・日銀による「介入」ということになりますが、足元の動きのように「一歩後退・二歩前進」という流れでは、なかなか介入を実施する理由も見つけにくいのではないかと思われます。

 本日のドル円は145円50銭~147円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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