【為替本日の注目点】WTI原油価格10営業日ぶりに下落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円は昨日の東京時間に147円87銭を付けたが、NYでは反落。米金利が低下し、介入警戒感の高まりから147円05銭まで売られたが147円台は維持。ユーロドルは続落。一時は1.0686まで売られ、およそ3カ月ぶりの安値に。株式市場はまちまち。アップルが前日に続き大きく売られ、他のIT株にも波及。ナスダックは123ポイント続落。債券は反発し、長期金利は4.24%台に低下。金は3日続落。原油も売りが先行し、10連騰とはならず反落。
マーケット情報
新規失業保険申請件数 → 21.6万件
ドル/円 147.05~ 147.60
ユーロ/ドル 1.0686 ~ 1.0710
ユーロ/円 157.36 ~ 157.82
NYダウ +57.54 → 34,500.73ドル
GOLD -1.70 → 1,942.50ドル
WTI -0.67 → 86.87ドル
米10年国債 -0.036 → 4.244%
本日の注目イベント
日 4-6月GDP(改定値)
日 7月国際収支・貿易収支
日 8月景気ウオッチャー調査
独 8月消費者物価指数(改定値)
米 7月消費者信用残高
米 4-6月期家計純資産変化
米 バー・FRB副議長講演
加 8月失業率
ドル円は昨日の東京時間朝方に、147円87銭まで買われ、前日のNYでのドルの高値147円80銭を若干上回りましたが、昨日のNYでは上値は限定的でした。介入に対する警戒感が高まっており、米金利も低下したことでジリ安の展開になりましたが、それでも147円台を維持しているところが、足元の「ドル高基調」を表しているようです。6日の財務省の神田財務官の「口先介入」を受け、ロイヤルバンク・オブ・カナダ(RBC)のストラテジストは、同社のモデルを使って、「実弾介入の確率は現時点で約20%と、過去の水準からすると高い」と、リポートしていました。ただ、実際に日本の通貨当局が為替介入を実施した「昨年秋の40%は、なお下回る」そうです。神田財務官は今回の「けん制」では、「あらゆる選択肢を排除しない」と述べており、これまでのトーンとはやや異なる「強め」の言い回しをしていたのは事実です。
発表された「新規失業保険申請件数」が予想されていたよりも減少していたことが材料視されました。発表された件数は、前の週から1万3000件減って「21万6000件」でした。先週発表された「ADP雇用者数」や「雇用統計」(雇用統計では8月分は予想を上回っていましたが、6月、7月分は下方修正)では、労働市場の減速傾向の兆しが見られましたが、失業保険の申請件数が減少したことで、再び堅調な労働市場が意識されたようです。今後も、堅調な個人消費と労働市場がどこまで減速するのかが大きな焦点です。それが追加利上げの有無につながり、ドル円の水準を決定するからです。
NY連銀のウイリアムズ総裁はブルームバーグとのインタビューで、「われわれの政策は良い位置にあるが、引き続きデータ次第の姿勢が必要だろう」と話し、「われわれは引き続きデータを注視し、その全てを分析し、自問自答しなければならない。政策は十分に景気抑制的であるのかと」発言しています。さらに総裁は、「労働市場の不均衡を縮小し、インフレを抑制するという点で、着実に前進していることを確認するために、もう一度利上げする必要があるだろうか」とも述べています。ウイリアムズ総裁は前回の発言もそうでしたが、かなり「ハト派寄り」に傾いてきた印象です。昨日はシカゴ連銀のグールズビー総裁も「ハト派寄り」の発言を行っています。総裁は米公共ラジオNPRの番組で、「金利をどこまで引き上げるべきかが議論の内容にならない時期がかなり急速に近づいている」と述べながらも、「需給と供給は一段とバランスを取り戻しつつある。だが、全体的なインフレ水準はなおわれわれが望む水準を上回っている」と慎重な言い回しも行い、その上で、「この流れがある程度持続することを確認し、われわれが黄金の道を歩んでおり最後まで行き着く方向にあると実感する必要があるだろう」と発言しています。(ブルームバーグ)両総裁とも、明らかに「ハト派的」な発言です。本来なら市場はドル売りに動くと思われますが、そういった動きにはつながっていません。市場はドル高傾向が鮮明な市場に慣れ切って、FOMCメンバーが徐々に「ハト派寄り」に変化している状況を「過小評価」している可能性もあります。ドル高材料には過敏に反応し、ドル安材料には反応しにくくなっているのが、足元の動きかと思われます。
本日のドル円は146円50銭~148円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
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