【為替本日の注目点】ドル円、円高方向に窓を開ける
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
NYでのドル円はじり高となり、一時は前日に記録した年初来高値の147円87銭まで上昇。米金利が上昇し、株価の反発も円売りに作用。ユーロドルは1.07台半ばから下げ、1.0698まで下落。株式市場は3指数が揃って小幅に上昇。債券は反落。長期金利は4.26%台に上昇。金は4日ぶりに小反発。原油も反発。
マーケット情報
7月消費者信用残高 → 10,399b
4-6月期家計純資産変化 → 5,094b
ドル/円 147.30~ 147.87
ユーロ/ドル 1.0698 ~ 1.0744
ユーロ/円 157.66 ~ 158.39
NYダウ +75.86 → 34,576.59ドル
GOLD +0.20 → 1,942.70ドル
WTI +0.64 → 87.51ドル
米10年国債 +0.020 → 4.264%
本日の注目イベント
欧 欧州委員会経済見通し
ドル円は週明けのオセアニア市場で久しぶりに「窓開け」を見せ、円高方向に振れています。ブルームバーグのデータでは、ドル円の安値は146円65銭近辺を示現しているようです。ユーロ円などクロス円も大きく円高方向に窓を開けて取り引きが始まっていますが、材料は9日(土)付けの読売新聞が掲載した植田日銀総裁とのインタビューでした。
インタビューで植田氏は、2%の物価安定目標の実現にはまだ距離があり、粘り強い金融緩和を続けるとした上で、賃金と物価の好循環を見極めるためのデータが年内にもそろう可能性もあるとの認識を示したそうです。植田氏は、「物価目標の実現が見えてくるのは、賃金と物価の好循環が金融緩和を止めても自律的に回っていく状況だ」とし、「十分だと思える情報やデータが年末までにそろう可能性もゼロではなくなった」と語ったと、同紙は報じています。植田日銀総裁は先月24-26日にジャクソンホールで行われたパネル討論会では、「基調的なインフレは依然として目標の2%を若干下回っていると、われわれは考えている。日銀が現行の金融緩和の枠組みを維持しているのは、それが理由だ」と述べていました。わずか2週間余りで、かなり内容の異なる発言を行っています。前者の発言後はドル円が買われ、今回は発言が伝えられドル円は大きく売られました。日銀の「インフレ見通し」も上方修正される可能性が高まったと感じています。
バイデン大統領はG20サミットを終えて訪れたベトナムのハノイで記者会見を行い、サミット期間中に中国の李強首相と会談を行ったことを明らかにしました。バイデン氏は、中国は経済問題への対応で「手いっぱいのようだ」とした上で、「中国は、国際的な成長とその欠如、同国が実施してきた政策に関連した様々な理由で、現在厳しい経済問題を抱えている。これが中国を台湾侵攻に向かわせるとは思わない。実際には恐らくその逆で、中国に以前と同じ能力はないだろう」と述べています。またバイデン氏は技術革新を巡る米中の緊張激化にも触れ、「核兵器の製造を増やしたり、防衛活動に従事したりする能力を高めるような部材を中国に売るつもりはない」と話し、「中国の封じ込めは望んでいない。中国と信頼できる、良好な関係を持つことを確認したいだけだ」と述べています。(ブルームバーグ)米景気についてイエレン財務長官はコメントを発表しています。イエレン氏は、雇用市場に大きな打撃をもたらすことなく、インフレを制御することは可能だと自信を強めていると述べ、着実なインフレ減速や求職者の増加を示すデータを歓迎するとし、「私はこの予測について非常に良い感触を持っている。まさにそのような軌道を進んでいると言わざるを得ないだろう」と発言しています。
ドル円はその後147円台を回復し、147円30銭手前まで反発しています。日銀が金融緩和政策の変更に手をつけるようなら、円高方向に振れる可能性は非常に高いと思われますが、それでも市場のモメンタムはドル買いに傾いています。今週は13日(水)に発表される「米8月の消費者物価指数(CPI)」が最大の注目材料になります。その後19-20日にはFOMCが開催されますが、ここでは余程のことがない限り政策金利の据え置きは変わらないだろうと予想しています。つまり、今回のCPIは年内残り2回のFOMCで1回の利上げがあるのか、それとも年内利上げはないのかの判断の「目安の一つ」という位置付けかと考えています。
本日のドル円は146円~148円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
・今日のアナリストレポート
https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm
・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
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