【為替本日の注目点】ドル円145円台後半に急落後反発

為替

サーチナ

2023/9/12 10:04

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

 ドル円は東京時間夕方には145円91銭近辺まで急落したが、欧州市場ではドルを買う動きが活発で146円98銭前後まで反発。NYでは終始146円台で推移し、読売新聞が報じた植田総裁の発言も海外市場では限定的。ユーロドルはやや水準を切り上げ、1.07台前半から半ばでもみ合い。株式市場は3指数が揃って上昇。ダウは3日続伸。ナスダックはテスラが大きく買われ156ポイント上昇。債券は続落。長期金利は4.28%台に上昇。金は続伸し、原油は反落。

マーケット情報

ドル/円 146.20~ 146.80

ユーロ/ドル 1.0716 ~ 1.0758

ユーロ/円 156.89 ~ 157.54

NYダウ +87.13 → 34,663.72ドル

GOLD +4.50 →  1,947.20ドル

WTI -0.22 → 87.29ドル

米10年国債 +0.024 → 4.288%

本日の注目イベント

豪 豪9月ウエストパック消費者信頼感指数

豪 豪8月NAB企業景況感指数

独 独9月ZEW景気期待指数

中東 OPEC月報

英 英ILO失業率(5-7月)

英 英8月失業率

 昨日の本リポートでもお知らせしたように、ドル円は9日付け読売新聞が報じた植田日銀総裁のインタビューでの発言で大きく「窓開け」を見せましたが、その影響は日本の債券市場と株式市場にも及び、金融緩和政策の早期解除を織り込む動きになりました。東京時間夕方4時過ぎにはドル円は146円を割り込み、145円91銭近辺までかなりの勢いを伴って下げました。ただ、やはりと言うかドル買いのモメンタムは強く、欧州市場に入るとドル円はほぼ一直線で上昇し147円手前まで反発しました。日本での反応と海外での反応の違いを見せつけられた格好です。NYでは金利が上昇し、株価も上昇したことから円は終始売られ易い状況でした。

 ただそれでも、日銀が年末に向ってイールドカーブコントロール(YCC)の修正など、金融緩和政策解除への大きな一歩を踏み出す可能性はくすぶり続けると思われます。一方で、植田氏の発言は「間接的な円安けん制を行ったのでは」とする声も支持されているようです。ドル円の荒っぽい動きが今後も続きそうです。明日は米8月の消費者物価指数(CPI)が発表され、14日にはECBの政策金利も発表されます。来週にはFOMCがあり、その前には日本の3連休もあります。相場を動かす材料には事欠きません。そして最後には日銀の政策決定会合が21-22日に予定されています。FRBが政策金利の据え置きを決め、日銀が緩和政策修正に関して何らかのメッセージを発するのであれば、ドル円は下方リスクの方が高いと考えることは無理のないストーリーと思われますが、どうでしょう。

 北朝鮮の金正恩総書記がプーチン氏の招待で数日中にロシアを訪問すると、ロシア大統領府と北朝鮮の国営通信、朝鮮中央通信(KCNA)が、ほぼ同じタイミングで発表しています。これに先駆けて韓国メディアは、金氏がウラジオストクに向けて豪華装甲車で出発した模様だと報じています。また、専用列車が北東部の国境地帯に向ってゆっくりと移動しているのが目撃されたという報道もあります。北朝鮮とロシアは鉄道で結ばれており、北朝鮮国境からウラジオストクまでの距離はわずか150キロほどだそうです。もし、韓国の報道通りだとすれば、金氏はすでにウラジオストクに到着している可能性もあります。このタイミングで首脳会談を行う意味は、ウクライナでの戦争に必要な武器供与が議題の中心であることは容易に想像できます。日曜日のある番組で、著名な評論家がこの会談を「嫌われ者同士の会談」と論じていました。北朝鮮からロシアに武器が供与されるようだと、この戦争はまだまだ続くのではと考えられます。

 9月のFOMCではほぼ利上げはないと見られますが、残りのFOMCは11月と12月の2回です。現時点では11月の利上げ観測が五分五分です。焦点は、ここでも利上げが見送られるのか、あるいは、今回の利上げステージで最後の利上げを行うのかという点です。今後のデータ次第です。

 本日のドル円は145円70銭~147円40銭程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)

・今日のアナリストレポート

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm

・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧

https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_calender.htm

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