HCH、4期連続過去最高業績を更新見込み――旺盛なDX需要を取り込み、案件の大型化と単価上昇で成果

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2023/9/15 8:50

 ヒューマンクリエイションホールディングス(=HCH、7361)の業績が大幅に拡大している。9月11日には今9月期の連結業績予想を上方修正するなど、顧客の旺盛なDX(デジタルトランスフォーメーション)需要を着実に取り込み、業績への反映が進みつつある。来期に向けても案件の大型化が進むほか、単価の上昇も続き、更なる成長が期待できそうだ。

今期の営業利益予想は6.6億円(前期比21%増)に上積み

 同社は、システム開発において、最上流工程であるコンサルティングから保守、運用までワンストップで手掛ける。コンサルティングに加え、ITエンジニアの派遣にも対応し、企業のデジタル課題に対して最適な解決手段を提供する。中・小型の案件を主力とするが、大手企業と取り組む大型案件でも存在感を高めている。

 今9月期はDXシフトを追い風に業績を急拡大し、11日には通期の営業利益予想を5.6億円から6.6億円(前期比21%増)に引き上げた。遠隔で取引を完結できる接客ツール「コネクトフォース」をベースに、NTTデータグループ(9613)と共同開発するサービスが自治体のオンライン窓口や銀行のオンライン契約で実証実験を開始し、8月にはオンライン相談窓口サービスの本運用を開始した。新たな案件の獲得が順調に進んでいる。

大手企業との案件が進展、単価引き上げも

 システム開発の日鉄ソリューションズ(=NSSOL、2327)とは資本・業務提携を行い、NSSOLのシステム開発に協力する。独自の音声認識技術を持つアドバンスト・メディア(=AMI、3773)とも資本・業務提携し、コネクトフォースの機能強化を図る。いずれも来期以降の業績を押し上げそうだ。また、案件の引き合いが増すとともに、単価の引き上げも浸透しつつある。コンサルや受託開発領域への注力や技術力の強化も単価アップにつながっている。

 人材強化も見逃せない。優秀なエンジニアを多く抱える中、即戦力となる技術者を積極的に採用し、システム開発の中核となる上級工程分野を強化している。一気通貫での案件受託でレベルの高い案件での経験を積ませ、エンジニアの技術力を引き上げるとともに、システム設計から実装、保守、点検までを一括して手掛けることで顧客の信頼を勝ち得ている。来期は昨年4月に子会社化したコスモピア(東京都千代田区)との本格的なシナジー発現も期待される。

 また、上級工程の中心となるコンサルや受託の比率が高まるにつれ、従来のクライアントが抱えるDX課題、業務変革ニーズに加え、経営戦略や事業戦略に踏み込んだコンサルティング・ソリューションへの対応も求められている。「経営コンサルティング領域」での領域・業容拡大も期待される。足元の業績好調を受け、中・長期での目標を前倒しして取り組みを加速する格好だ。

 株価は11日の今期業績予想の引き上げでいったんは材料出尽くし感が広がったが、PERは11倍台に低下した。ただ、DXニーズは引続き旺盛であることから、HCHの好調な業績が続くことが見込まれる。株価にも割安感があり、再評価機運が早晩高まると予想される。

(写真:123RF)

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