米8月住宅着工件数、前月比11.3%減の128.3万件―市場予想を大幅に下回る

経済

2023/9/20 9:25

<チェックポイント>

●アパートが26.3%減33.4万件―3年ぶり低水準に

●業者の値下げ拡大で許可件数は増加

●許可件数の増加はポジティブながら新築需要の本格的な好転には時間との見方

 米商務省が19日に発表した8月の住宅着工件数(季節調整値)は、年率換算で前月比11.3%減の128万3000件と、市場予想の平均値である143.9万件を大幅に下回った。また、7月分は144.7万件(速報値は145.2万件)と、やや下方改定された。前年比は14.8%減(7月の改定後は5.5%増)だった。

 市場では8月の着工件数が急減したのは住宅ローン金利(30年固定金利型ローンの金利が9月14日時点で年7.18%と、7%台と高水準にあり、住宅購入者のアフォーダビリティー(住宅取得能力)が低下、住宅購入需要が抑制されているため、新規プロジェクトよりもすでに建築許可が下りている既存プロジェクトの完成を優先させたためと見ている。

 着工件数の内訳は、主力の一戸建てが前月比4.3%減の94万1000件と減少に転じたうえ、月毎に変動が激しいアパート(5世帯以上)は同26.3%減の33万4000件と大きく減少し、20年8月(32万7000件)以来、3年ぶりの低水準に落ち込んだ。

 バックログ(受注残)は一戸建てが前月比2.9%増の14万2000件と増加に転じ、アパートも同7.1%増(同8.8%減)の13万5000件となった。全体は同5.6%増の28万2000件だった。

 一方、先行指標である建築許可件数は前月比6.9%増の154万3000件と2カ月連続で増加し、市場予想の144万件を大幅に上回った。一戸建てが同2%増の94万9000件と7カ月連続で増加したほか、アパート(5世帯以上)は同14.8%増の53万5000件と急増した。

 また、建築許可が下りたあとの建築中件数は、一戸建てが前月比0.1%減の67万6000件と15カ月連続で減少したが、7月の1%減や6月の1.3%減から落ち着いた。アパート(5世帯以上)は同0.2%減の99万5000件と2カ月連続で減少だった。

 一戸建ての完成住宅件数は一戸建てが前月比6.6%減の96万1000件と4カ月ぶりに減少に転じたが、アパート(5世帯以上)は同45.8%増の43万3000件と3カ月ぶりに増加した。

 NAHB(全米住宅建設業者協会)によると、建築業者のうち、値下げに踏み切ったのが32%(前月は25%)に拡大しており、住宅ローン金利が高水準にあるなか、今後の需要減退を見越して値下げを強化する業者が増えたことが許可件数の増加の背景にあり、市場は今後の着工件数が緩やかに回復すると前向きにみている。一方、住宅ローン金利の上昇により、住宅購入者のアフォーダビリティ(住宅取得能力)が低下しているため、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策が利下げに転換し、住宅ローン金利が6%未満になるまで新築需要は好転しないとみており、本格的な回復には時間がかかりそうだ。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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