FOMC、政策金利を据え置きも年内1回の追加利上げ示唆

経済

2023/9/21 8:38

<チェックポイント>

●「ドット・チャート」、19人の委員が23年末の政策金利を5.50-5.75%と予想

●今後の金融政策も「経済と金融の動向次第」とし、据え置きの可能性も残す

●23-24年のGDP見通しを上方修正―ソフトランディングの可能性高まる

 FRB(米連邦準備制度理事会)は20日のFOMC(米連邦公開市場委員会)会合で、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を5.25-5.50%に据え置くことを全員一致で決めた。市場予想通りだった。今回の据え置きは6月会合以来、2会合ぶりで、今年に入って2回目。

 最新の9月経済予測によると、FF金利の見通し(政策金利のレンジ予想の中心値)は23年が5.6%と6月時点の予測からと変わっておらず、市場では今後の追加利上げの可能性を示すものと見ている。一方、24年は5.1%(6月時点の予測は4.6%)、25年は3.9%(同3.4%)と、いずれも0.5ポイント引き上げられ、高水準の金利が長期化することを示唆した。

 19人のFOMC委員による金利予測を示す「ドット・チャート」でも、23年末の政策金利を5.50-5.75%と予想したのが12人と最も多く、次いで5.25-5.50%が7人だった。

 FRBは経済予測で24年までにインフレが減速すると予想しているため、24年には利下げに転換する可能性があるとみている。なお、ドット・チャートでは24年末の政策金利を4.75-5.25%と予想している委員が8人となっている。

 一方、声明文は0.25ポイントの利上げを決めた前回会合とほぼ同様の言い回しが目立ち、今後の金融政策の見通しについても、「今後の経済と金融の動向次第」との文言を引き続き使用。FOMC後に会見したパウエルFRB議長は、これまでの利上げ効果が完全に実感できる状況とは言えないとの見方を示したうえで、「再利上げを決定する前にすべてのデータを検討する」と述べており、追加利上げの可能性と、状況によっては据え置く可能性も示した。

 GDP(国内総生産)伸び率については、23年を前回予測の1.0%から2.1%増に、24年を同1.1%増から1.5%増に引き上げ、FRBの累積的な利上げにもかかわらず、景気は冷え込まない見通しを示し、市場は米経済のソフトランディング(緩やかな調整)の可能性が高まったと見ている。25年は前回予測と同じ1.8%増とし、新たに26年は1.8%増と予想した。

 また、失業率は23年を前回予測の4.1%から3.8%、24年を同4.5%から4.1%、25年を同4.5%から4.1%に引き下げた。26年は4.0%としている。

 一方、PCE(個人消費支出)物価指数でみたインフレ率の見通しは、23年のコア指数を同3.9%上昇から3.7%上昇に引き下げたが、24年は前回予測と同じ2.6%上昇とし、25年については同2.2%上昇から2.3%上昇に引き上げた。物価目標に収束するのは26年まで時間がかかると予想している。26年の予想は2.0%上昇。

 次回会合は10月31-11月1日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

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