<新興国eye>ブラジル中銀、予想通り0.5ポイント利下げ―次回も同規模利下げを示唆

新興国

2023/9/21 8:46

 ブラジル中央銀行は20日の金融政策決定委員会で、政策金利(セリック)である翌日物金利誘導目標を0.50ポイント引き下げ、12.75%とすることを全員一致で決めた。市場の予想通りだった。

 中銀はインフレの急加速を受け、21年3月会合で15年7月以来、5年8カ月ぶりに利上げに転換。22年8月会合まで12会合連続で利上げを実施、利上げ幅が21年3月以降で計11.75ポイントに達したことを受け、同9月会合から現状維持に転換、今年6月会合まで7会合連続で金利を据え置いた。しかし、前回8月会合で20年8月以来3年ぶりに利下げに転換。これで利下げは2会合連続となった。ただ、金利水準は依然、22年8月(13.25%)以来、約1年ぶりの高水準で、インフレ抑制が期待される金融引き締め状況となっている。

 中銀は会合後に発表した声明文で、追加利下げを決めたことについて、「経済活動は予想よりも強い回復力を示したが、中銀は依然、次の四半期(10-12月期)で景気減速を予想している」と述べ、景気の先行きに懸念を示した上で、利下げによる景気支援の必要性を強調している。

 また、中銀はディスインフレ(物価上昇率の低下)が進展したことなどを考慮し、追加利下げを決めたとしている。インフレについて、中銀は、「最近のインフレ率(全体指数)は予想通り上昇したが、コア指数は低下している」と指摘、コア指数を示すサービス物価の低下傾向が利下げを容易にしたとしている。

 今後の金融政策について、中銀は前回会合時と同様、「インフレシナリオが予想通りに進展すれば、次回月会合でも全員一致で、同規模の追加利下げを予想している」とし、その上で、「ディスインフレプロセスに必要な金融収縮(金融引き締め)政策を維持するにはこのペースが適切と判断する」とし、段階的に利下げを進める考えを示している。市場では今後も0.50ポイントの現在のペースで利下げを慎重に進める可能性が高いと見ている。

 中銀が利下げサイクルについて、段階的に進めるとしたのは、インフレリスクが残っているため。インフレ見通しについて、中銀は、「ディスインフレのプロセス(インフレの低下基調)が定着し、インフレ期待が物価目標近辺で安定するまで、縮小的な金融政策(金融引き締め)を継続する必要性がある」とし、その上で、「金融政策の次のステップはインフレ率の動向や長期予測、インフレ期待の長期見通し、アウトプット・ギャップ(需要量が供給量を上回ったインフレギャップ)に依存する」とし、急激な利下げを避けたい考え。背景にはフェルナンド・ハダド財務相が今月初め、中銀は利下げぺ-スを0.75ポイントに加速させるべきと発言したことがある。

 中銀は、「23年のインフレ率は5.0%上昇(前回会合時は4.9%上昇)、24年は3.5%上昇(同3.4%上昇)、25年は3.1%上昇(同3.0%上昇)と予想している」とし、いずれもインフレ見通しを引き上げ、24年も物価目標(3.0%上昇)を超えると予想している。

 次回の金融政策決定会合は11月1日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ