【為替本日の注目点】FOMC会合、政策金利据え置きを決定
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円はFOMCの決定とその後のパウエル議長の発言で急騰。直前まで147円台半ばで推移していたドル円は148円36銭まで買われ、年初来高値を更新。ユーロドルは1.07台半ばから反落し、1.0650を付ける。株式市場は3指数が揃って続落。金利上昇を嫌気したナスダックは209ポイントの大幅安。債券は続落。長期金利は4.40%台で引ける。金は5日続伸。原油は反落。
マーケット情報
ドル/円 147.48~ 148.36
ユーロ/ドル 1.0650 ~ 1.0737
ユーロ/円 157.83 ~ 158.45
NYダウ -70.85 → 34,440.88ドル
GOLD +13.40 → 1,967.10ドル
WTI -0.92 → 90.28ドル
米10年国債 +0.048 → 4.407%
本日の注目イベント
トルコ トルコ中銀政策金利発表
欧 ユーロ圏9月消費者信頼感指数
英 BOE金融政策発表
米 新規失業保険申請件数
米 経常収支(4-6月)
米 9月フィラデルフィア連銀景況指数
米 8月中古住宅販売件数
米 8月景気先行指標総合指数
FOMCでは予想通り政策金利の据え置きを決め、パウエル議長のタカ派発言も概ね想定通りでした。今回の据え置きは、昨年3月に利上げを開始して以来、6月会合に続き2回目の利上げ見送りとなります。パウエル議長の会見を受け、それまでは147円台半ばで推移していたドル円は一気に148円台まで上昇し、148円36銭まで買われました。今年のドルの最高値を再び更新したわけですが、米長期金利が「4.40%」台まで上昇し、2年債利回りも2006年以来の高水準となる「5.17%」近辺まで上昇するなど、介入警戒感が増す中でも、ドルが買われることに無理はありません。
FOMC声明文では「最近の複数の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大していることを示唆する。雇用の伸びはここ数カ月に鈍化してきたが力強さは維持しており、失業率は低いままだ。インフレは依然高水準にある。委員会は引き続きインフレリスクに細心の注意を払い、より長期にわたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指す。これら目標実現を支えるため、委員会はフェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジを5.25-5.5%に据え置くことを決めた」と発表されています。またメンバーが予想する「来年の金利予測分布図(ドットプロット)」の中央値は5.6%と、メンバー19人のうちパウエル議長を含め12人が、「年内あと1回の利上げ」を支持していることになります。
パウエル議長は会見で、「政策金利が、適切な水準に達したという説得力のある証拠をつかみたい」と述べ、「適切であればさらに利上げを行う用意がある」と、8月のジャクソンホールでの講演でも述べた言葉を繰り返しています。また、景気の加速も抑制も招かない「中立金利」については、「現在の推計値よりも高い可能性があるが、政策当局者にはまだ分からない」と述べ、「金利の動向を考えると、米経済は多くの予想よりも好調だと言ってもいいだろう」と語っています。(ブルームバーグ)昨年3月にゼロ金利を解除し、1年半の間に5.5%もの急激な政策金利引き上げにもかかわらず、雇用や個人消費などが腰折れしていないことを念頭に置いた発言かと思います。
昨日の本欄でも触れましたが、イエレン財務長官の市場介入に関する発言を受け、財務省の神田財務官は「あらゆる手段を排除しない」と、強めの言葉を使ってコメントしていました。そこでも書いたように、昨日のドル円の動きのようなドルの「ジリ高」にはなかなか介入のきっかけが掴めないのではないかと思います。日米金利差は再び拡大傾向を示し、パウエル議長の発言にもあったように「好調な米経済」を背景に「ドル独歩高」の様相が続いています。考えられる円高要因は、結局「市場介入」と「日銀の金融政策の修正」しかないように思われます。そして、今日と明日の2日間に、ドル円の水準によっては、そのどちらかの可能性がないとは言えません。
本日のドル円は147円~149円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(写真:123RF)
・今日のアナリストレポート
https://info.kabushiki.jp/rd/gaitameonline_academy01.htm
・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
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