英中銀、5対4で政策金利を据え置き―4委員は利上げ主張

経済

2023/9/22 8:25

<チェック・ポイント>

●英8月CPIで市場の見方は拮抗

●APFの減額ペースを加速

●市場は据え置き期間の長期化の可能性を指摘

 BOE(イングランド銀行、英中銀)は21日、金融政策委員会(MPC)で政策金利を5.25%に据え置くことを決めた。9委員のうち据え置きを支持したのは5人で、残りの4人は0.25ポイントの利上げを主張した。市場の事前予想は分かれていたが、利上げがやや優勢だった。

 市場の予想は利上げと据え置きでほぼきっ抗。前日20日発表の英8月CPI(消費者物価指数)が前年比6.7%上昇と、前月の6.8%上昇から鈍化したため、利上げサイクルを一時停止するとの見方が強まった一方、依然として高い水準であることから、もう一段の利上げが必要との見方も根強かった。

 BOEの声明文では、今回の据え置きについて8月のCPIの伸びが鈍化したことに言及したほか、「金融引き締め政策が雇用市場や実体経済の勢いに何らかの影響を与える兆候が増えている」としており、リセッション(景気低迷)への懸念にも配慮したとみられる。

 今後の金融政策についても、「金融政策は中期的にインフレ率を持続的に2%上昇の物価目標に戻すため、十分長い期間にわたって、十分制限的である必要がある」とした一方、「さらなる持続的なインフレ圧力の証拠が見られれば、さらなる金融引き締めが必要となる」とし、追加利上げの可能性があることを示唆した。

 また、量的金融引き締め措置として、9月20日時点で7590億ポンドとなっている金融資産買い取り制度(APF)の国債保有額を23年10月から24年9月までの1年間で6580億ポンドまで削減することを全員一致で決めた。従来の減額ペースは800億ポンドだったが、1000億ポンドに減額ペースを加速させる。

 市場では、インフレ要因である賃金の伸びが加速する恐れがあるとして、今回の利上げ見送りが物価上昇につながると警戒する声や、FRB(米連邦準備制度理事会)やECB(欧州中央銀行)よりも据え置きの期間が長期化するとの見方もある。

 次回の会合は11月2日に開かれる予定。

提供:ウエルスアドバイザー社

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