<新興国eye>トルコ中銀、5.0ポイント引き上げ―今後も段階的利上げを示唆

新興国

2023/9/25 9:15

 トルコ中央銀行は先週(21日)の金融政策決定会合で、インフレを抑制するため、主要政策金利である1週間物レポ金利を5.0ポイント引き上げ、30.0%とすることを決めた。市場の予想と一致した。

 利上げ幅は予想と一致したものの、8月のCPI(消費者物価指数)が前年比58.94%上昇と、約60%もの高インフレを抑制するには不十分との見方が強まり、外為市場では市場の失望感を映し、通貨トルコリラがドルに対し、小幅下落した。

 中銀は2月6日の大震災を受け、震災復興を支援するため、2月会合で22年11月以来3会合ぶりに利下げに踏み切ったが、3月会合で現状維持に転換。5月会合まで3会合連続で据え置いたが、新総裁に就任したハフィゼ・ガイ・エルカン氏の下で初めて開かれた6月会合で、21年3月以来2年3カ月ぶりに利上げに転換している。これで利上げは前回8月会合(7.5ポイント利上げ)に続き、4会合連続。30.0%の金利水準は18-19年の24.0%を超え、前回会合に続き、過去最高を更新した。

 中銀は会合後に発表した声明文で、追加利上げについて、前回会合時と同様、「できるだけ早くディスインフレ(物価上昇率の低下)への道筋を確立し、インフレ期待を抑制、(企業の)価格設定行動の悪化(値上げ)を抑制するため、金融引き締めプロセスを継続することを決めた」としている。

 また、中銀は「7月と8月のインフレ率は予想を上回った。堅調な内需とサービス物価が依然として強く、原油価格の上昇とインフレ期待の持続的な悪化がインフレ上振れリスクとなっている」とした上で、「年末のインフレ率が経済予測の範囲の上限に近づく」と、改めて警戒感を示した。

 今後の金融政策について、中銀は前回会合時と同様、「金融引き締めは、インフレ見通しの大幅な改善が達成されるまで、適時かつ段階的に必要なだけさらに強化される」とし、その上で、「インフレ指標(全体指数)とコアインフレの動向を注視、物価安定という主目的に沿って、あらゆる金融政策ツールを断固として使用し続ける」とし、段階的に追加利上げを続ける方針を改めて強調した。

 また、中銀は7月会合で決めた、利上げによる金融引き締め効果を支援するための量的金融引き締め措置を継続することも明らかにした。これはリラ安から企業や消費者の貯蓄を守るため、21年末に導入された、リラ建ての「為替保護預金(KKM)」制度(預金を外貨換算した際、目減りした損失を補填)を廃止、通常のリラ預金口座への資金移動を進める措置で、市場では0.4ポイントの利上げ効果があると見ている。

 市場では中銀は年末までに金利を35,0%に引き上げ、来年3月の地方選挙を経て、24年4-6月期からさらに金利を引き上げると予想している。

 次回の金融政策決定会合は10月26日に開かれる予定。

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 上場MSエマ<1681.T>

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