米7月S&P/ケース・シラー住宅価格指数、前月比0.6%上昇―過去最高値を更新

経済

2023/9/27 9:38

<チェックポイント>

●20都市圏:前月比は6カ月連続上昇、前年比は0.1%上昇

●10都市圏:前月比は6カ月連続上昇、前年比は0.9%上昇

●S&P、「今後、住宅ローン金利上昇などで住宅価格は低下」と予想

 スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が26日発表した7月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(季節調整前:NSA)は一戸建て中古住宅の価格動向を示す総合指数である全米住宅価格指数が前月比0.6%上昇の310.16と、前月(6月)の0.9%上昇を下回ったが、6カ月連続で上昇、過去最高を記録した。年初来では5.3%上昇。価格上昇は住宅供給不足が背景となっている。

 他方、季節要因を無視できる前年比も1.0%上昇と、6月の横ばいから上昇に転じた。5月(0.4%低下)までは14カ月連続で減速(低下)していた。

 S&P500指数を運営しているS&Pダウジョーンズ・インデックスのマネージング・ディレクター兼指数管理担当責任者であるクレイグ・ラザラ氏は、「住宅価格(全国指数)は22年6月(308.3)にピークに達し、23年1月までの7カ月間で5%下落したが、1月から価格上昇が始まり、それ以前の下落分を消した。7月は新たな水準となり、過去最高値を記録した」と指摘。しかし、同氏は今後の見通しについて、前月と同様、「住宅ローンの資金調達コストの上昇や景気低迷の見通しを考えると、今後、これまでの価格上昇(年初来で5.3%上昇)が打ち消される可能性がある」とし、住宅価格の先行きについては楽観的に見ている。

 住宅ローン金利はフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)の30年固定金利の平均約定金利でみると、直近の9月21日時点では7.19%と、8月中旬から7%台に突入、1年前の6.29%上昇を上回り、依然、住宅購入者のアフォーダビリティー(住宅取得能力)を押し下げている。

 また、市場が最も重視している主要20都市圏の価格指数(季節調整前)は前月比0.6%上昇の316.68と、前月(0.9%上昇)から伸びが減速したが、6カ月連続で上昇。前年比は0.1%上昇(前月は1.2%低下)と、5カ月ぶりに上昇した。ただ、市場予想(前年比0.5%上昇)を下回った。22年6月(318.72)の過去最高値を依然下回っている。ただ、依然、住宅バブル期の06年7月の最高記録206.52を53.3%上回っている。

 都市別の前年比では、南東部が強く、シカゴが4.4%上昇と、最も高い伸び。次いで、クリーブランドが4.0%上昇、ニューヨークは3.8%上昇、マイアミは1.9%上昇。対照的に、太平洋沿岸や西部が弱く、ラスベガスが7.2%低下と、最も低い伸びとなった。次いで、フェニックスが6.3%低下、サンフランシスコは6.2%低下、シアトルは5.5%低下だった。マイナス(低下)となったのは20都市中8市(前月は10市)だった。

 他方、主要10都市圏の価格指数(季節調整前)も前月比0.6%上昇の330.6と、前月(0.9%上昇)から伸びが減速したが、6カ月連続で上昇した。前年比は0.9%上昇(前月は同0.5%低下)となった。22年6月(330.36)の過去最高値を依然下回っている。ただ、依然、価格指数は金融危機前の06年6月のピーク(226.29)より46.1%高く、20都市圏と同様に上昇率が拡大した。

提供:ウエルスアドバイザー社

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