<新興国eye>チェコ中銀、予想通り金利据え置き―全員一致

新興国

2023/9/28 8:51

 チェコ国立銀行(中銀)は27日の金融政策決定会合で、インフレを抑制するため、政策金利の2週間物レポ金利を7.00%に据え置くことを全員一致で決めた。市場の予想通りだった。

 中銀は最近のインフレ加速を受け、21年6月会合で20年2月以来、1年4カ月ぶりに利上げを再開。22年も2、3、5、6月に利上げを決めた。利上げ幅が計6.75ポイントに達したことから同8月に据え置きに転じ、利上げサイクルは9会合連続で止まった。金利据え置きはこれで10会合連続。7.00%の政策金利は20年超ぶりの高水準となっている。

 金利据え置きを決めたことについて、中銀は前回8月会合時と同様、「最新の経済予測に基づいて、すべてのシナリオ(基本シナリオと他の2つのシナリオ)を議論した結果、現在の金利水準がインフレ率を確実に物価目標(2%上昇)に収束させるのに十分な水準となっている」とした。

 その上で、中銀は今後の金融政策について、前回会合時と同様、「インフレ率は8月に前年比8.5%上昇と、22年8月の同17.2%上昇から低下したが、依然として容認できない水準にある。中銀はインフレが十分に抑制されるまで、つまり2%上昇の物価目標近くで安定するまで、インフレとの戦いを続ける」とした上で、「今後の新しい経済データと経済予測の達成度合いに基づいて、金融政策を決定する」とし、現在、20年超ぶりの高水準となっている金利を据え置く可能性を示唆している。

 また、中銀は市場の早期利下げ予想について、前回会合時と同様、「今後数四半期の金利は経済予測の基本シナリオよりも高くなると予想している」とし、「(これにより)インフレ率は10月に一時的に統計のベース効果で上昇しても、24年上期にはインフレ率は物価目標の2%上昇に近づくと予想している」とし、早期利下げ観測に否定的な見方を示した。ただ、前回会合時に使われた「市場の(早期の)金利低下予想は実現しない可能性がある」との文言が削除され、ややトーンダウンしている。

 市場では中銀は利下げ時期を遅らせ、金融引き締めを長期化させたいと考えていると見ている。中銀が利下げを遅らせたい背景には利下げによる通貨コルナ安の進行がインフレ抑制効果を低下させることへの懸念がある。市場では前回会合時までは9月会合から利下げが開始され、今年末までに1.00ポイントの利下げを予想していたが、現在は次回11会合から利下げが開始され、年末までに0.50ポイントの利下げに修正している。

 先週(18日)、ハト派のヤン・フライト副総裁は経済通信社ブルームバーグのインタビューで、最近の急速なコルナ安の進行と原油価格の上昇を理由に挙げ、金融緩和(利下げ)には慎重なアプローチが必要との考えを示した。ただ、中銀がディスインフレ(物価上昇率の低下)に確信が持てれば、11月か12月の会合で利下げする可能性は排除できないと指摘している。市場では年内に利下げが開始されても、利下げペースは緩やかになると予想している。

 次回の会合は11月2日に開かれる予定。

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提供:ウエルスアドバイザー社

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